『いやな気分よ、さようなら』から怒りについてシリーズの第二回目。
前回の「VONACCO怒りの評価尺度」は皆さん、如何だったでしょうか?
誰にでも怒りはあるもの、その辺りをどのように緩和するか、多分、恐らく、皆さんにも有益な部分はあるはずだから、参考になればと期待を込めて。
今回はは、No.2から。
〈増補改訂 第2版〉いやな気分よ、さようなら―自分で学ぶ「抑うつ」克服法
デビッド・D.バーンズ 山岡 功一 夏苅 郁子
David D. Burns 佐藤 美奈子 林 建郎 小池 梨花
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内容(「BOOK」データベースより)
認知療法の気分改善効果は、驚くべきものである。うつ病に対して、抗うつ薬と同等か、それ以上の治療効果があると証明された初めての精神療法、それが認知療法である。本書は、人生を明るく生き、憂うつな気分をなくすための認知療法と呼ばれる最新の科学的方法を示す。抑うつ気分を改善し、自分の気分をコントロールする方法を身につけるための最適の書。
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他の感情と同じように怒りにも認知から湧き出るものである。思考と怒りの関係を図1.1に示す。これでわかるように感情が高ぶる前に何が起こっているのかを確認して、それを判断するはずである。感情は出来事そのものではなく、それを意味づけることによって沸いてくるものである。
例えば疲れきった日に二歳の子供を寝かしたと仮定してみてほしい。子供部屋を出て、くつろいでテレビを観るとしよう。二十分後子供が笑いながら歩いてきた。それをどう考えるかによって様々の感じ方をするだろう。もしイライラするならば、たぶん「まったく、いつも厄介な奴だ。どうして良い子で寝ていないんだ。もう少し休ませてくれ」と考えるだろう。一方、「やった、初めて自分でベビーベットから出ることができた。大きくなったものだ」と考えれば子供が部屋を出てきたことを喜ぶことができる。このように、その場面をどう考えるかで感情の湧き方は決まるのである。
ここであなたはこう思ったのではないだろうか。当ててみよう。
「そんな子供のこととは違う。自分はもっとはっきりした理由で腹が立つんだ。世の中はおかしいことだらけだ。こんな嫌なことを気にせずにはいられない。ロボトミー手術を受けて廃人になれとでもいうのか!」と思ったのではないだろうか?
確かに嫌なことはいっぱいある。でもそのことに対する感情はそれらをどう解釈するかによって違う。怒りは両刃の剣であるからその解釈をよく吟味する必要がある。怒りは爆発すると長引く。たとえ自分が悪くなくとも怒りの感情に変わりはない。腹が立つことによる苦痛は、もともとの不快感以上のものである。
ほとんどの場合怒りは微妙な認知の違いで起こる。抑うつ感情は知覚がずれていたり、一方的であったり、単純に間違っていたりするものである。このずれた感じをもっと現実的で機能的なものにする方法を身に付ければイライラをなくし自分をコントロールすることができるようになる。
怒ったときにはどのような<ずれ>が怒るのだろうか?最も犯しやすい間違いは「レッテル貼り」である。ある人のことを馬鹿扱い、無能扱いすれば、その人を否定的に見ていることになる。この一般化のしすぎを「拡大化 globalizing」「巨大化 monsterizing」と呼ぶ。人に裏切られたとき、その人の裏切りに憤慨するのは当然。その反対にその人のことをこういう人だと決め付けてしまえば、その人を悪い人だと色眼鏡で見ていることだ。怒りを「その人となり」に向けている。
人をこのように思うときは心の中では嫌な点ばかりを見ていたり「心のフィルター」、無視したり、良い点を値引きする「マイナス化思考」したりしているのである。これが怒りを間違った方向へ向けさせる原因。実際、人間は良い点も悪い点も複雑に合わせ持っているものなのだ。
人を決め付けてしまうことは好ましい考え方でなく必要以上の憤慨を引き起こす。
自分のイメージを壊してみよう。
人を決め付けるとどうしても他人に小言が多くなる。仕返しを我慢しなくてはならず、その相手と同じような態度をとってしまう。人を決め付けても自己満足にしかならない。そして相手と対立して戦争状態になってしまうのである。
どんな戦争になるのだろうか?たぶん自尊心を守ろうとする戦いだろう。相手はあなたを批評したり、好まなかったり、あなたの考えには賛成しないかもしれない。ここで名誉かしからずんば死かという決闘に臨むわけである。しかし問題はあなたがどれだけ声高に叫ぼうが、相手の人格が全面的にダメではないということ。人をおとしめることで自己評価はできるかもしれないが、自己評価は高くはならないのである。結局、否定的で歪んだ考え方では自分が軽んじられてしまう。この世の中でたった一人自尊心を脅かす人→それは自分自身なのである。自己評価を下げたときだけが、価値観が低くなるだ。
本当の解決はあなたの心の中にある。
次回は、この続きから要約してみよう。
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(2012/02/05 14:34)
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