前回の「何故腹が立つのか」に続くシリーズ第4回目。
『いやな気分よ、さようなら』から怒りについてシーリーズで要約してみたい。
誰にでも怒りはあるもの、その辺りをどのように緩和するか、多分、恐らく、皆さんにも有益な部分はあるはずだから、参考になればと期待を込めて。
本シリーズはこのように分割したい。No2の続きから。
〈増補改訂 第2版〉いやな気分よ、さようなら―自分で学ぶ「抑うつ」克服法
デビッド・D.バーンズ 山岡 功一 夏苅 郁子
David D. Burns 佐藤 美奈子 林 建郎 小池 梨花
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内容(「BOOK」データベースより)
認知療法の気分改善効果は、驚くべきものである。うつ病に対して、抗うつ薬と同等か、それ以上の治療効果があると証明された初めての精神療法、それが認知療法である。本書は、人生を明るく生き、憂うつな気分をなくすための認知療法と呼ばれる最新の科学的方法を示す。抑うつ気分を改善し、自分の気分をコントロールする方法を身につけるための最適の書。
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一旦怒り始めてしまうとまるでブルドッグのように他人の足に噛み付くことになるかもしれない。だから怒りはもっとも始末に終えない感情である。また復讐心も沸いてくるので怒りをとめるのはますます難しくなる。結局、怒りは「不正である」という観念から起こる道徳感情なので、そこは正義感が含まれている。それは宗教的感情にも似ている。それに打ち勝つには大変な意志の力が必要であり、ここが難しいところである。
第一段階:
怒り、復習することの有利な点、振りな点のリストを作るためにダブルカラム法を使うこと。
怒りの短期的、長期的な成り行きを考えてみること。
リストを見直して損益と利益とどちらが大きいかを考えてみること。
こうすることで自分の憤慨が本心かどうか判ってくるだろう。我々はたいてい自分自身にもっと良いようにしたいと考えるものだから、これがより平和で生産的な態度を作る方法になる。
ここでは例をあげてダブルカラム法を使ってみよう。
【例】二人の娘を連れて再婚した31歳の恵子、夫の忠男も再婚で、先妻との間にできた16歳の娘のいる忙しい弁護士。忠男はいぞが敷く、時間が限られているので、恵子はめったにかまってもらえないと憤慨している。そして夫が自分に十分な時間と注意を払ってくれないのでこの結婚は不幸だと感じている。恵子は図1.2のように自分の苛立ちの良い点、悪い点を書き出した。
図1.2 怒りが役に立つかどうかの解析
◆怒りの良い点
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◆怒りの悪い点
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①気分が良い
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①夫との関係を更に気難しくする
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②忠男にも私が夫をとても非難していることがわかるだろう
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②夫が私を拒否するかもしれない
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③自分がそうしたければイライラを吹き飛ばす権利がある
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③イライラを吹き飛ばした後で罪の意識を感じるかもしれない
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④私は玄関マットではないことを夫に知らせる
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④夫は負けず嫌いなので私に抵抗し、すぐに怒るだろう。
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⑤私の方が損をしえいると夫に教えることができる
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⑤私の怒りは最初の問題を解決することの邪魔になる。そして、問題が取り組むことを難しくし、解決を妨げる
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⑥たとえ自分の思うようにならなくとも、怨みを晴らす満足感を得られる。夫を私のようにもがき苦しませ、傷つかせることができる。そうすると夫も成長できるのではないか
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⑥少し怒ったり、少し落ち着いたりすることに忠男や周りの人はどうしてよいかわからなくなる。私は気分や出怒りっぽく甘えん坊で子供っぽいと思われる。夫は私を子供っぽいとみる
⑦子供に神経質になるかもしれない。子供が大きくなると私の爆発を恨み、救いようのない人のように思うかもしれない
⑧忠男は私の小言と意地悪に疲れて、去っていくかもしれない
⑨忠男は自分の不快感で自分は惨めに思える。生活は酸っぱく苦しみやすくなり、今まで自慢していた悲しい楽しみや創造がうまくいかなくなる
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これらの怒りを除去することによる好ましい結果を書き出してみよう。
①自分が人により好かれる。人が自分にもっと近づいてくる。
②自分がもっと先のことが読めるようになる。
③自分の感情をうまくコントロールできるようになる。
④もっとリラックスできる。
⑤もっと快適に過ごせるようになる。
⑥肯定的で文句のない実践的な人物に見られる。
⑦ないものねだりをする子供よりずっと大人らしく振舞える。
⑧人にもっと影響力を持ち、不機嫌や共用よりも断定的で穏やかで理性的な交渉のほうが実りが多い。
⑨子供、夫そして親が更に自分を尊敬する。その結果、恵子は怒りを実質的に実りあるものに位置づけることができた。
自分の怒りについてこうした分析をすることは大切。自分の怒りの良い点、悪い点を書き出してから、同じテストをしてみよう。なんともならない腹立たしい状況で、あなたは腹を立てずに切り抜けようとするだろうか、考えてみよう。もし、はいと答えられるならあなたは明らかに自分を変えようとしている。おそらく穏やかな心と自己評価を得ることができるだろう。自分の人生をより効果的なものとすることができるだろう。どうするか選択するときが来ている。
次回は、「想像法」のアプローチについていっしょに考えてみよう。
(2012/02/08 22:11)
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