前回の「気持ちを落ち着かせよう」の続編。
『いやな気分よ、さようなら』から怒りについてシーリーズで要約してみたい。
誰にでも怒りはあるもの、その辺りをどのように緩和するか、多分、恐らく、皆さんにも有益な部分はあるはずだから、参考になればと期待を込めて。
本シリーズはこのように分割したい。
〈増補改訂 第2版〉いやな気分よ、さようなら―自分で学ぶ「抑うつ」克服法
デビッド・D.バーンズ 山岡 功一 夏苅 郁子
David D. Burns 佐藤 美奈子 林 建郎 小池 梨花
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内容(「BOOK」データベースより)
認知療法の気分改善効果は、驚くべきものである。うつ病に対して、抗うつ薬と同等か、それ以上の治療効果があると証明された初めての精神療法、それが認知療法である。本書は、人生を明るく生き、憂うつな気分をなくすための認知療法と呼ばれる最新の科学的方法を示す。抑うつ気分を改善し、自分の気分をコントロールする方法を身につけるための最適の書。
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自分の心の中で腹立ちを思い返し、「怒りの考え」を思い起こして心のスクリーンに映してみよう。
今までの復讐や暴力のイメージがこんなにも鮮やかだと気付かなかっただろう。
こんな心像光景は敢えて思い浮かべなくては気付かないもの。ちょっとやってみよう。茶色の籠の中の赤いりんごを想像してみよう。目は開けていても、閉じていても大丈夫。ほら、見えるでしょう。それが言いたいこと。たいていの人が日常視覚的イメージを持っているもの。それこそわれわれの思考の視覚的な部分で、普通の意識の一部である。例えば記憶にはときに心像光景として残る。高校の卒業、初めてのキス、長いハイキングなど今までの生き生きしたことを想像してみよう。見えるでしょう?
このイメージは強くあなたに影響する。この影響はちょうど性的な夢や悪夢のように良いようにも悪いようにも作用する。良いイメージの、気分を引き立たせる効果は強烈である。例えば遊園地に行く途中で最初にジェットコースターで降下するときの眼の眩むような感覚をイメージして、興奮を味わうだろう。白昼夢は実際楽しいものである。
同じように悪いイメージも感情を高ぶらせる効果がある。今までに良いと思った人、悪いと思った人を眼に浮かべてみよう。どんなイメージになっただろうか? その鼻を殴ったり、彼らを煮えたぎった油に落としたりと想像するだろうか?
誰が怒らせているのだろうか。自分でそのイメージを作っているもの。ご存知のようにあなたが怒っている人はどこかわからないところにいる。あるいはそんな人はもはや生きていないかもしれない。ひょっとしたら、罪人かもしれない。さあ、このスクリーンであなたはディレクターでありプロデューサーなのだ。そしてたった一人の観客でもある。これを見続ける人はどこにいるだろう? あなたしかいないのである。あなたが歯を食いしばり、力をこめてアドレナリンホルモンを分泌し、そしてあなたが血圧を上げている。一言で言えばあなたは自分で自分を傷つけているのである。
こんなことを続けたいだろうか?
もしそうでなければ、自分の心の中で怒りの炎を燻らせるもを減らすようにすべきである。
●一つの方法はその怒りの火をもっと腹が立たないような創造的なものに換えること。ユーモアは有効なものであって、例えば嫌なやつの首を絞める代わりに、デパートの人込みをその人がおしめを当てて歩いている姿を思い浮かべてみよう。太鼓腹、おしめのピン、足、細かなことまで視覚化してみよう。ほら怒りはどうなったか? 顔が笑っているじゃない。
●二つ目の方法は考えを止めること。お気づきのように、どんなイメージでもスイッチを切って消すことができるはず。怒り以外のことを思い浮かべてみよう。誰かと話をする。本を読む。パンを焼く。ジョギングをする。もし怒りを気にしないようになれば、どんどん気にせずにすむようになるだろう。
いつまでも考え続けるよりも関係ないことを考えたり、性的な夢でも見るようにしよう。もし怒りの思いが消えないなら腕立て伏せや、早いジョギング、水泳のような激しい運動をしよう。これらは怒りの根源から関心を逸らす有効な方法である。
次回は、「ルールを書き直す」の話題について掘り下げてみよう。
(2012/02/14 23:45)
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