怒りの指数は? コントロール法は?(13) -自分の怒りについて知るべき十の事柄-

2012
3/7
水曜日

前回の「統合:認知リハーサル」の続編。

『いやな気分よ、さようなら』から怒りについてシーリーズで要約してみたい。

誰にでも怒りはあるもの、その辺りをどのように緩和するか、多分、恐らく、皆さんにも有益な部分はあるはずだから、参考になればと期待を込めて。

本シリーズはこのように分割したい。

1. NOVACO怒りの評価尺度
2-1. なぜ腹が立つのか
2-2. なぜ腹が立つのか
3. 願望を実現させる手段にする
4. 気持ちを落ち着けよう
5. 想像法
6. ルールを書き直す
7. 狂った態度を受け入れる
8. 洗練された操縦法
9. 「すべき思考」を止めること
10. 交渉の戦術
11-1. 正確な感情移入
11-2. 正確な感情移入
12. 統合認知リハーサル
13. 自分の怒りについて知る事柄

〈増補改訂 第2版〉いやな気分よ、さようなら―自分で学ぶ「抑うつ」克服法
デビッド・D.バーンズ 山岡 功一 夏苅 郁子
David D. Burns 佐藤 美奈子 林 建郎 小池 梨花

4791102061

内容(「BOOK」データベースより)
認知療法の気分改善効果は、驚くべきものである。うつ病に対して、抗うつ薬と同等か、それ以上の治療効果があると証明された初めての精神療法、それが認知療法である。本書は、人生を明るく生き、憂うつな気分をなくすための認知療法と呼ばれる最新の科学的方法を示す。抑うつ気分を改善し、自分の気分をコントロールする方法を身につけるための最適の書。

◆自分の怒りについて知るべき十の事柄

1.★この世に起こることがあなたを怒らせているわけではない。★
あなたの「怒りの考え」が怒りを引き起こすのである。
たとえ、あなたにとって否定的なことが起こったにしても、それはあなたの意味づけであり、それがあなたの感情的な反応を決めるものである。

自分の怒りに責任を持つという考え方は、結局はあなたにとって有利に働くもの。そうすることによって自己管理がうまくいき、自分がどう感じたいのかと言うことについても自由に選ぶことができるようになるからである。さもなくば、あなたは自分の感情を管理することに手も足も出なくなり、管理されなくなった感情は、この世で起こるあらゆること-そのほとんどが結局はあなたには制止しきれないだろう-にどうしようもなく密接に結びついてしまうだろう。

2.★たいてい、怒りはあなたを助けたりはしない。★
それどころか、怒りによって活動できず、なんら生産的な目的もなく敵意のなかで身を縮めることになる。しかし、前向きな解決法を探すことの方に重きを置くならば、気が楽になる。難局をどうにかするために、あるいは少なくとも将来同じようにかっとなる可能性を減らすために、一体どうしたらよいのだろう? この心構えは、その場で起こったことをうまく処理できないと感じたときに、あなたを食いつぶす無力感や挫折感をある程度は取り除けるかもしれない。

もし腹立ちが全面的にあなたの管理能力を超えて起こったために解決することができない場合、ただ怒りとともに惨めな気持ちになるばかりだろうが、それならばどうしてそこから逃げ出そうとしないのだろうか?
怒りと喜びを同時に感じることは全く不可能でなくても、きわめて困難である。あなたが自分の怒りを特に貴重な重要なものと思っているとしたら、今まで一番幸せだと感じた時期をひとつでも思いい浮かべてみよう。そして、図分自身に聞いてみる。平和なあるいは喜びに満ちたその時期を挫折感やいらいらと引き換えることなんてできるか?と。
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3.★怒りを頻繁に引き起こす考え方は歪んでいる。★
その歪みを直せば怒りの回数は減るだろう。

4.★結局は怒りというものは、誰かの行為が不正であるとか、なにか不当なことが起こったと信じることから引き起こされるものである。★
怒りの強さは、感じられた悪意の強さに比例し、その行為が故意とかどうかによっても増大する。

5.★あなたがこの世を他人の目を通してみることを覚えたら、他人の行動が彼らにしてみたらなんら不正ではないということに気づき驚くだろう。★
こうした場合には、不正と言うものはあなたの心にだけ存在する幻想だというわけである。もしあなたが真実や正義、公平の概念という皆で共有している非現実的な観念から自ら進んで解放されようとすれば、あなたの恨みや挫折感は消えてしまうだろう。

6.★他人はたいていあなたに責められるいわれはないと思っている。★
したがって、報復は、人間関係には何の助けにもならず、怒りはかえって関係をより悪化させ、対立を引き起こし、自己満足に陥るのが関の山である。たとえ一時思いのままになったとしても、そのような敵意のある小細工で得たものは長期的には逆恨みを受ける結果に終わるだろう。誰だって管理されたり強制されたりしたくはないのである。肯定的な報酬の方が効果があるというわけはこの点にある。

7.★あなたの怒りには、他人に批評されたり賛同してもらえなかったり、他人が自分の望んだとおりの振る舞いをしなかったりしたときに自尊心を失うことに対する防御から怒ることが多い。★
しかしそういう怒りはたいてい間違っている。というのは、単に自分の否定的で歪んだ考えが自尊心を失わせているに過ぎないからだ。他人を役に立たないといって非難するのは、あなたの思い違いである。

8.★挫折感は期待が実現しないことにより起こる。★
あなたを失望させた出来事は「現実」のなかの出来事であるから、それは「現実的」と受け止めるべきである。とすると、あなたの挫折感はいつも非現実的な予想から起こるということになる。もちろん現実を期待に一歩でも近付けようと努力するのは自由だが、それは実用的ではない。特にその期待が他のどんな人間の考えともかけ離れた現実を表している場合にはなおさらである。
たとえば、人を挫折に導く非現実的な予想の中には、以下に挙げる要素を含んだものがある。


a.自分が望むものは(愛、幸福、昇進、etc)必ずそれを受ける価値がある。
b.一生懸命やれば、必ず成功するものだ。
c.他人が自分の標準にまで達する努力をするのは当然であり、自分の「公正さ」を他人は信じるべきである。
d.自分にはどんな問題でもすばやく簡単に解決する能力がある。
e.良妻であれば、夫は必ず愛してくれるはずだ。
f.皆自分と同じように考えたり行動したりする。
g.新設にしたのだから、人はそれに報いるべきだ。

9.★自分には怒る権利があると主張して拗ねるのは子供じみたことである。★
もちろんしてはいけないとは言わない。ただ問題なのは、怒りを感じることがあなたにとってためになるだろうか、ということにある。あなたは、あるいは世の中にはあなたの怒りによって豊かになるだろうか?

10.★人間でいるためには、怒りはほんのたまには必要なものである。★
かといって、それなしでは感情のないロボットになるというわけではない。実際、不機嫌なイライラからあなた自身を解放すれば、ずっと大きな興味や喜び、平穏、そしてやる気が自分のものになるだろう。そして、自由を感じ新しい世界を経験することも可能だろう。

「怒り」シリーズは今回で終了する。




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