怒りの指数は? コントロール法は?(6) -ルールを書き直す-

2012
2/17
金曜日

前回の「想像法」の続編。

『いやな気分よ、さようなら』から怒りについてシーリーズで要約してみたい。

誰にでも怒りはあるもの、その辺りをどのように緩和するか、多分、恐らく、皆さんにも有益な部分はあるはずだから、参考になればと期待を込めて。

本シリーズはこのように分割したい。

1. NOVACO怒りの評価尺度
2-1. なぜ腹が立つのか
2-2. なぜ腹が立つのか
3. 願望を実現させる手段にする
4. 気持ちを落ち着けよう
5. 想像法
6. ルールを書き直す
7. 狂った態度を受け入れる
8. 洗練された操縦法
9. 「すべき思考」を止めること
10. 交渉の戦術
11-1. 正確な感情移入
11-2. 正確な感情移入
12. 統合認知リハーサル
13. 自分の怒りについて知る事柄

〈増補改訂 第2版〉いやな気分よ、さようなら―自分で学ぶ「抑うつ」克服法
デビッド・D.バーンズ 山岡 功一 夏苅 郁子
David D. Burns 佐藤 美奈子 林 建郎 小池 梨花

4791102061

内容(「BOOK」データベースより)
認知療法の気分改善効果は、驚くべきものである。うつ病に対して、抗うつ薬と同等か、それ以上の治療効果があると証明された初めての精神療法、それが認知療法である。本書は、人生を明るく生き、憂うつな気分をなくすための認知療法と呼ばれる最新の科学的方法を示す。抑うつ気分を改善し、自分の気分をコントロールする方法を身につけるための最適の書。

◆ルールを書き直す

あなたはうまくいくはずのない非現実的な対人関係のルールを作って、そのために必要もないのに葛藤したり腹が立ったりしているのかもしれない。恵子の怒りの鍵は「自分が魅力ある忠実な妻ならば、愛される価値がある」という自分のルールに従って、忠男の愛情を独り占めにしようとしたことにあった。

この一件もっともらしいルールのために、ちょっと冷たくされるたびに恵子は自信を失い、結婚の危機をいつも感じるようになった。このようにして自分を守るために、いつも夫の目を自分に惹きつけないと不安を感じるようになったのだ。しかしその結果、夫との愛は氷の断崖の端へゆっくりと滑っていくような具合
になった。当然、忠男を離さないようになり、夫の冷淡さを感じたときには爆発したのだった。夫婦の生活が危機にあることに夫が気付かないわけはない。

恵子の「愛情」のルールは不快である上に、そうそううまくは働かなかった。しばらくは彼女が渇望するような注意を惹きつけ、感情を爆発させることで忠男を脅迫でき、冷たくすることで懲らしめることができ、罪の意識を呼び起こすことで夫を操ることができたのだった。

しかし恵子の得た愛情は自然なものではなかった。夫は疲れきり、嵌められ、操られているように感じていたはず。しだいに怒りが漏れ出しそうになってしまった。夫が彼女の要求に応じるのを止めれば、自由への欲求は大きく膨らんで、爆発することになるだろう。愛情問題の破壊的な効果は驚くべきものである。

もしあなたの対人関係がこの循環的な緊張と専制を特徴とするならばルールを書き直すほうがいいだろう。もしもっと現実的な態度を身につけることができれば、葛藤を終わらせることができる。
世界を変えるようなことより、ずっと簡単なこと。

恵子は「愛情」のルールを変えることにした。「忠男に対して肯定的に振舞えば、彼は私を永く愛してくれるだろう。たとえ彼が愛してくれなくとも私は自分を尊重し、効果的に行動することができる。」この彼女の公式化は今までより現実的で、気分や自尊心が夫に左右されなくなるようなものではなかった。

対人関係を困難に陥れるようなルールが悪いものにはみえないこともよくある。それどころが非常に道徳的で人間的にみえるものである。

著者は”早苗”という「結婚は互いに平等でなければならない」と考える女性の治療に当たった。彼女はこのルールを全ての人間関係に当てはめた。
「私が人に良いことをすれば、人はそのお返しをするべきだ。」

これは確かに「合理的」で「公正」だが、完璧なルールとは言いがたい。どこが間違っているかというと、人間はそれぞれ違うので、結婚を含めた人間関係が自然に「相互的」なことは稀であるという絶対的な事実があるからである。相互性は努力し続けて達成される一過性で独特の不安定な理想である。これは共通のコンセンサス、コミュニケーション、妥当と成長が必要。折衝と大変な努力が必要なことなのである。

早苗の問題点アhこのことに気付いていなかったことである。彼女はおとぎ話の中に住み、見せ掛けの真実として相互性が存在していた。彼女はいつでも夫をはじめ人に喜ばれるよう西、そのお返しを待っていたのだった。不幸にも、他の人は彼女がお返しを期待しているとは思わなかったので、この一方的な契約は履行されることはなかった。

あなたが「であるべき」とか「ではいけない」というルールを持っているなら失望や葛藤の原因になるだろう。もっと現実的なものにするべきであろう。図1.5にいくつかの例を挙げる。「であるげき」を「ならすばらしい」と置き換えることが有用な第一歩となる。


                    図1.5 「であるべきルール」の再検討

自己破壊的な「であるべきルール」

反論

1.他人に新設なら、感謝されるはずだ。

1.いつも感しゃれれるとは限らない。ほとんどの場合、感謝されるだろうが、時にはそうでないこともある。

2.他人は私に礼儀正しくしなければならない。

2.たいていの人は私さえ喧嘩腰でなければ礼儀正しい。たまたま気難し屋は不愉快な態度をとる場合もある。しかしそんなことをきにする必要はない。人生はつまらない細かなことに費やすにはあまりにも短い。

3.一生懸命やればうまくいくはずだ。

3.必ずしもそうでない。何事にも成功する保障などありはしない。私は完全ではないし、そうなるはずもない。

4.もし誰かが私に不正を働いたら、怒る権利はあるし、そのほうが人間らしいから怒るべきだ。

4.人は不正に扱われたか否かに関わらず怒ることができる。本当の問題は怒ることが自分に有利かどうかということだ。怒りたいのだろうか。 それが損か得か?

5.私がしないようなことを他人もすべきではない。

5.そんなことはない。皆が私のルールで動いているわけではない。他人は私と同じような態度で接してい来ることもあるし、そうでないこともある。



次回は、「狂った態度を受け入れる」について掘り下げたい。






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