3月21日の”ソーチェーンの正しい目立て【仕組み理解編】”、4月4日の”ソーチェーンの正しい目立て【目立ての大切さ理解編】”に続く最終章。【目立てのしかた理解編】をお届けしよう。(誰も、ジェイソンになろうなんて人はいないのよ) まあ、いいだろう。自己満足街道邁進・驀進・まっしぐらでいこうぜ、って魂胆ですね。
『刃物は泣くほど研げ、笑うほど切れるぞ。』
なのだってね。うまいこと言うではないか。
『ソーチェーンはノコギリである。 ノコギリは刃物である。刃物は切れなければならない。』
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図 |
解 説 |
■チェーンソーを安全に使うために
(1)チェーンソーはよく切れること。
よく切れる刃物でも、使い方が悪かったり、不注意であれば怪我をする。一般に、刃物で怪我をするのは切れないものを使うからだいわれる。当然、切れないチェーンソーは事故もと。地形や足場の条件の悪いところで、切れないチェーンソーを無理に押しつけt作業し、思わぬ方向に力が入り、足を滑らせて災害を起こしてしまう。あるいは、チェーンソーが切れずに苦労するので倒す木の太さに対して受け口が小さかった、受け口の斜め切りを正しく切らなかったなど、切れないチェーンソーによる災害の事例はたくさんある。
(2)突っ込み切りをうまく応用すること。
突っ込み切りは、ガイドバーの先端から突っ込んで、切ることで、ボーリング・カットともいう。このボーリング・カットができるのは、チェーンソー作業で一番魅力のあること。例えば裂けるような木を伐倒するときは、受け口から突っ込み切りをして、芯抜きをしておく。玉切りの際、ガイドバーがはさまれないように回し切りをして、先端から突っ込む。このようにガイドバーの先端からの突っ込み切りは、広範囲に応用ができ、安全な作業方法に役立つ。しかし突っ込み操作を誤る
とキックバック(跳ね返り)を起こし、なんといってもチェーンソーが切れなければ、スムーズなボーリング・カットでの作業ができない。切れるチェーンソーと正しい操作方法が必要。
(3)切り曲がりをするチェーンソーは使うな。
そーちぇーんお切り曲がりの原因は、【目立ての大切さ理解編】で述べたが、切り曲がりするチェーンソーを使って作業することは危険である。例えば、伐倒中にある程度切り込むとそーちぇーんが切り口に挟まって止まるので、くさびで鋸みちを開いて、何回も切り直しをしなければならない。つるの切り合わせをしなければならないときなど、大事なときにそーちぇーんが止まってしまうようでは、思わぬ危険が生じることがある。切り曲がりするチェーンソーは、安全上、「使うな」「使わせるな」というくらいの考えを持たなければならない。正しく、よく切れるようにすれば、切り曲がりもしない。
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■刃物に対する考え方
昔から、刃物を使う職人、例えば大工さん、板前さん、床屋さんなどは、刃物をよく切れるようにすることに専念する。『刃物は泣くほど研げ、笑うほど切れるぞ。』という表現がある。「しっかり正しく研ぎなさい。そうすればよい仕事ができるよ。」という格言。まずはお知らせします。刃物の研ぎ方から一生懸命勉強しましょう。
チェーンソーがこれだけ普及しても、目立てがうまくできない理由は、ソーチェーンが切れない状態でも木が切れる、少しぐらい切れなくとも腕力にまかせて何とか切れるから。「なんだ、目立てか?」と軽視される。どうやって木を切っているのか、そのぐらいの疑問をもつだけでも大きな進歩なのだから。
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■目立ての準備
(1)ヤスリはよく切れるものを使うこと。
- 目立て丸ヤスリは、よく切れるものを使うこと。白く光ったもの、赤く錆びたものは、切れ味が悪いので力を入れ過ぎてソーチェーンの刃の角度を崩してしまう原因となる。
- 工具袋などに入れて、携帯するときには、必ずカバーをしておくこと。ヤスリとヤスリが擦れ合ったり、ほかの工具に触れあってヤスリを傷めることになる。
- ヤスリは、水分を嫌うので注意すること。錆びる原因になる。
- 自分のソーチェーン用の太さを覚えておくこと。ヤスリの根元に、32分の7インチ(5.5ミリ)、16分の3インチ(4.8ミリ)、32分の5インチ(3.9ミリ)と、3つのサイズがあり、インチサイズの刻印が打ってある。
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(2)ヤスリは必ず柄を付けて使うこと。
ヤスリに柄を付けないで使っている人をよく見かけるが、これでは正しい目立てはできない。例えば、安全カミソリの刃だけではうまく髭を剃ることができないように、手で使う刃物には必ず柄が必要。刃物に限らず手で使う工具(手工具)にも必ず柄が必要。これらの柄は手先の延長であり、極端に細いものや太いもの、短いものは使いにくい。持ちやすく、握りやすいもので、どちらかと言えば、やや太めぐらいのものが使いやすいでしょう。柄は既製品もあるが、枝などを選んで自分で作った方がよいでしょう。また、ヤスリより少し太めのビニールパイプを柄にしている場合は、これでは良い仕事は出来ない。
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(3)油の付いたソーチェーンにヤスリをかけないこと。
チェーンオイルなどがついて、べとついているものに、ヤスリかけはしないこと。ヤスリが滑って、正しい目立てができない。ボロ布で拭き取るのもひとつの方法だが、最も簡単な方法は木に強く押しつけて鋸断することで、こうすれば油が取り除かれた状態になり、ヤスリがけが容易になる。また、ひどくヤニのついたソーチェーンには、チェーンオイルにガソリンか石油などを適当に混合して木を鋸断するときれいになるので、それから目立てをする。
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(4)チェーンソーを固定すること。
ナイフや包丁を研ぐとき、まず、砥石をしっかり固定するが、砥石がぐらぐらで不安定だとうまく研げないし、仕上がりもよくない。どんなにヤスリを上手に使える人でも小さなカッターを細い丸ヤスリで研ぐのに、チェーンソーを固定しないことには、決してよい目立ては望めない。
よくない目立ての姿勢
①、②:伐根の上や丸太の上に置いたまま、③:チェーンソーを立てたままギターを弾くようなスタイルでは、正しい目立ては絶対にできないといっても過言ではない。
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チェーンソーを固定するには?
現場には、切り捨てた不要な丸太や伐根がある。11-①の丸太、11-②の伐根などを利用し、それに切り込みを入れる。切り込みの深さは、ガイドバーの幅が半分くらい出るくらいがよい。そしてその切り込みにガイドバーをのせる。そのときチェーンソーが不安定なら、エンジンの下にパッキンなどを入れ、自分の目立てがやり易い姿勢に併せるように固定すればよい。
12-①のように、左側カッターを研ぐ。次に、反対側の刃を研ぎたいが、12-②のように、エンジンの左部分や丸太が邪魔になって、身体が入りにくく窮屈で、目立てがやりにくくなるので、12-③のように、チェーンソーを逆に置き換えると場所が広くなり、目立てがやりやすくなる。
このことを頭に入れておいて、あらかじめ切り込みを用意しておくと、マテ手がスムーズにできる。
12-④、⑤のように、伐根を利用したような場合、あらかじめ切り込みを入れておき、チェーンソーを逆に入れ替えればよい。要するに目立て前に、チェーンソーを左または右に固定する準備ををすることが大切。
現場では、地形なども考慮して、この方法を参考に。
ソーチェーンの張りが緩いと、ヤスリをかけるときに、ガタついて、確実な正しい目立てができない。ソーチェーンをあまりきつく張ると回しにくくなるので、-13のように小枝で作ったくさびをガイドバーとそーチェンの間に差し込んで、ガタつかないようにする。このようにチェンソー本体もソーチェーンも完全に動かないように固定することが大切。
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(5)
ヤスリの持ち方
写真左は、ヤスリの正しい握り方。ヤスリの柄は手のひらの中心に置き、人差し指と親指は柄とヤスリに沿って伸ばして柄に軽く添え、中指、薬指、小指で軽く柄を握る。このとき、ヤスリと腕が一直線になるようにする。
写真右のような握り方は、感心した握り方ではない。ヤスリがけが直線にならず、ブレてしまう。
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(6)
ヤスリは往復で使わないこと
ヤスリの刃は構造上、前方に押すときだけ切れるようになっているので、手前に引く場合は、ヤスリを刃から離さなければならない。手前に引いて擦っても、ヤスリがかからないばかりか、ヤスリの目をつぶしてしまう。また、「ヤスリは丸いから、回しながら使え。」と器用なことを教える人がいるが、まったく無意味。
■ヤスリの正しい当て方
(1) 正しいヤスリの当て方
目立てしようとするカッターの刃先に、カッターの大きさに合った丸ヤスリを当てる。(A)の①のようにヤスリはカッター(すなわちガイドバー)に対して、直角かつ水平に当てる。また、②のようにカッターの刃先からヤスリが5分の1ぐらい出ていなければならない。
(B)のように、刃先とヤスリは密着させる。ヤスリとカッターを①の矢印の方向にしっかり押し付け、その力を抜かないで、前方の②に押し出す。密着していないと、正しい切削角および刃先が付けられない。このとき、カッターの上の面に跳ね上がらないように注意することが必要。もし新しい刃の場合であれば、その角度(35度または30度)を定規のつもりで、角度を崩さないように擦ること。
「横へ強く押す。その力を抜かないで、そのまま前に軽く押しなさい。」(過去、著者は‘力をいれる割合を、8分横へ2分下への気持ちで擦るよう指導していた。)
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まず、左側カッターを目立てする場合は、写真のように左手の人差し指でカッターを右方向に押す。柄を持つ方の右での人差し指で、ヤスリをカッターに押し付けるようにし、左人差し指と右人差し指でソーチェーンを締め付けるようにして、ヤスリを押し出してやれば、上手にヤスリがかけられる。もちろん、このときヤスリと腕は一直線になっていなければならない。
前へ押し出したヤスリを彦戻すときは、カッターから離すようにし、引きずらないようにする。 |
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写真(左)のようにカッターの頭の平らな部分が、ヤスリと平行になっているようにする。
写真(中)の場合は、手元が下がっているので、カッターとヤスリが合っていない。
写真(右)の場合は、手元が上がっているので、②とは逆になっている。
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次に、右側の目立てをするときは、写真(左)のように、チェーンソーの反対側の丸太の切り込みに置き替え、目立てしやすい位置にする。手前側は、エンジンの部分が邪魔になるので、ガイドバーの根元からではなく、邪魔にならない部分からスタートする。大体、ガイドバーの先端から3分の2ぐらいの位置がよいでしょう。左手の親指で、カッターを右側に押し付ける。右手の親指でヤスリをカッターの内側へ押し付けるようにして、同様に軽く前へ押し出す。
言い換えれば、左カッターは左と右の人差し指で締め付けるように、右カッターは、左と右の親指を開くような気持ちで、ヤスリを押し出しながら研ぐ。
また、ひどく形の崩れたカッターを修正するようなとき、あるいは力を入れてヤスリを使う必要があるときは、両手を使ったほうがよいでしょう。例えば、写真(右)のように右側のカッターの目立てをする場合、左手の親指でヤスリの先端を、被疑手の親指はヤスリの柄をカッターの内側に押し付けるようにして前方に押し出しながら研ぐ。反対側は人差し指を使って、この要領でやる。
作業中に「切れ味が鈍ったなぁ。」と思ったら、早めに軽くタッチするつもりで、2~3回ヤスリをかける。早めにやった方がカッターの減り具合も少なくてすむ。まったく切れなくなってからでは、カッターを減らす量が多くなる。
「一日何回ぐらい目立てをすればよいのか?」⇒樹種、木の硬さ、作業量にもよるが、一概には言えない。いずれにしても、切れ味が鈍った時点で早めにやること。
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(2)正しくないヤスリの当て方
図は、上刃とヤスリに隙間があり、密着していない。
結果的に(A)は鈍角に、(B)は鋭角になりやすくなる。このような状態での目立てでは、正しくない。
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(A)は、ヤスリの手元を上げた状態。ヤスリの前方を下げて研ぐことになるので、「フック型」になる。
(B)は、逆に手元が下がり、ヤスリ前方を上げて研ぐことになるので、「バックスロープ型」になる。
(c)のように、ヤスリが左右に触れると、上刃が丸くなってしまう。このようにして、刃の形を崩してしまう人が割合に多い。
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ヤスリを真っ直ぐに使うための基本的な方法について、以下に説明する。
現場で目立てを行う場合は、作業の場所、切り込みを入れて台にする伐根の高さや太さによって、チェーンソーを固定しようする位置が変わってくる。どんな位置でも、ヤスリを真っ直ぐに当てるようにするためには、①のようにヤスリをガイドバーに対して水平に置く。次に、写真のように腕を無理のないように水平にすると、ヤスリと腕に段差ができる。これを手首だけ伸ばして柄を握ると、②のように腕とヤスリは「く」の字になる。このような状態でヤスリを押し出すと、ヤスリがブレがちになる。③のように腕を水平にしたまま、方と体で合わせると腕とヤスリは一直線になって、正しいヤスリがけができ、大変スムーズにいく。また手首に力を入れないで、肘でヤスリを押し出すようにする。「格好なんてどうだっていいじゃないか。」「ヤスリさえ当てればいいのだろう。」という声もあるが、感心したことではない。
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(1) 正しくない刃型の直し方
次に崩れた刃型、フック型やバックスロープ型の直し方の説明。
(A)のフック型になった刃を直すときは、⑤のようにヤスリの手元を下げて、①の点線部分を②のように、真っ直ぐになるまで擦り落とす。この場合は、ひと回り太いヤスリの方が早く落ちる。また、フック型が著しい状態なら、平ヤスリで取ってしまってもよい。また、上刃を見ると③のように形が崩れている。刃の上刃目立て角や切削角が双方とも正しくなっていない。刃の上刃目立て角や切削角が双方とも正しくなっていないので、④のように正しい刃、また手角に修正する。
(B)のバックスロープ型になったものは、⑤のように手元を上げ、①の点線部部を②のように、真っ直ぐになるまで擦り落とし、(A)と同じ要領で修正する。
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角度に自信がなければ、写真のような角度ゲージを使うとよい。マグネットでガイドバーに取り付けられる。ガイドバーに対して目立ての角度(線を引いてある部分でヤスリと交差しているのは、反対側を目立てするときのための線)がでるので、これに沿ってヤスリを掛ければ正しい角度が付けられる。
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(4)チゼル型の目立てについて
手元を下げればフック型は解消される。しかし上刃は、図(A)の太い実線のように、中くぼみになる。これでは上刃の刃先を潰したことになり、刃物として切れなくなる。では、どうすればよいか。チゼル型も、水平に研がなければならない。フック状が目立つようになったら、手元を下げて軽くフック状を取る。そして、ヤスリを水平に軽く、中くぼみを取るような気持ちで、上刃を真っ直ぐにする。軽くヤスリを当てる程度。何回も水平に繰り返していると、またフック状になってしまう。
(B)の①の横刃目立て角(90度-75度=15度、矢印の部分)は、この程度。②のように、名刺のようなものを水平に当ててみるとよく分かる。言い換えれば、(B)のように「フック気味にしなさい。そうしないと切れない。しかし目立つようなフックではダメ。」
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①の太い矢印の部分が、②のように刃先の角度が鋭くなっていなければならない。③のように、ごく僅かでも潰れていると、これだけで切れ味は半減してしまう。この辺のところが、チゼル型の目立てのコツというか、難しいところ。
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(5)新品のそーチェンを目立てするときの注意
新品のソーチェーンでは、①の矢印のところに突起部(矢印の▲の山)が付いている。これは、製造黄葉では目立てグラインダーを使っているので、このように残る。このため、②のおうにヤスリを当てると、ヤスリが浮き上がった状態になるので、目立てをする前に、あらかじめ、この部分を擦り落としておく。③のように、ヤスリがぴったり合って、、5分の1ぐらいの刃の上に出て、ちょうどよい結果が得られる。この処置をしないと、④のように適切な位置(実線で示したところ)よりも、ヤスリが点線の部分だけ上がってしまい、⑤のように切削角が著しく鋭角になってしまう。
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ソーチェーンの送り方
目立てをするとき、ソーチェーンを回すため、素手でカッターをさわると、特に手前に引いたときに思わぬ怪我をする。また、目立てをしようとする次のカッターの位置がわからなくなる場合がある。①の矢印から、②まで目立てをする。これを手で送らないで、③の矢印のところのカッターを丸太などにかけて、チェーンソー本体を手前に引くと、③~④の部分が、ほぼ①~②に移る。最初に目立ての済んだ⑤のカッターは、①のところに移り、再スタートができる。これを繰り返していけば、簡単に迷うことなく目立てができる。
(7)目立て角度の保ち方
ガイドバー上部に出ている左右のカッターは、ガイドバーの長さや形式によっても違うが、片側8~10枚くらいある。カッターとカッターの間隔も4~7センチぐらいある。①から目立てを始めて、ガイドバーの先端へと前進する。この移動を腕を伸ばすだけで行うと角度が変わってしまう。従って、間隔分だけ、無理のないように肩や身体も合わせて移動するつもりでやれば、角度が保たれる。また、角度を保つためにカッターを①へ、1枚ごと送ってやっている人を多く見かけるが、固定するのを面倒がる原因になるので避けたほうがよい。
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また、点検などでソーチェーンを送る(回す)場合も左写真のように素手を使うのは絶対避け、右写真のように、必ず小枝などでカッターの後から前へ押し出す。これを逆に手前に引くと、思わぬ怪我をするので注意。
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■デプスゲージの調整のしかた
(A)は、カッターの上に置かれたデプスを計る道具。メーカの品名は、デプスゲージ・ジョインターという。これをカッターの上に当てて、図②の矢印の黒く塗つぶした部分の高さをみる。もちろん、デプスゲージが高い時はとび出しており、低いときは引っ込んでいる。
③の矢印の線が規定の高さで、1000分の25インチ、あるいは1000分の30インチとなっていて、この高さを合わせる。ジョンターには、デプスゲージの高さを示すインチあるいはミリが刻印で打ってあるので、使用しているソーチェーンに合ったものを選ぶ。
ガイドバーは、直線ではなく丸みをもっているので、できるだけ平らな箇所を選んで測定する。また、測定する箇所も決めておく。
もっとも確実な方法は、(B)のように左側または右側どちらでもよいが、図の②、③の上に①の定規を置く。このとき、カッター②と③の間にあるカッターには、定規はかからない。そして②のデプスゲージとの隙間を目測する。どのゲージも1ミリ以下だから、その点は判断の上、擦り下ろす。もし、高いと思ったら、その位置でデプスゲージの頭を平ヤスリでおとす。適当と思った回数、例えば3~4回、同じ回数で全部のデプスゲージを擦り下ろす。また、デプスゲージは前方に丸みをもっているので、もうひとつの目安として、図の点線のように、擦り下ろしていくと、矢印のように幅が変わってくる。この幅を目測で揃えれば充分。
左図の原型のように幅3分の1ぐらいのところから、丸みをつけておく。ただし、ガードリンク付きのものはこの必要がない。
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デプスゲージは①のように必ず水平に擦り落とすこと。②と③は、高さに変化がないばかりか、よい形ではない。デプスゲージを下げていくにしたがって、④の矢印の部分に角(カド)がたつ。これは、特に突っ込み切のときなどに跳ね返り(キックバック)の原因になるので、
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■ソーチェーンの取替え
ソーチェーンをある期間使用したところで、何らかの原因で切れたような場合、ソーチェーンの部品を買ってつなぐことがあるが、これは避けたほうがよい。なぜなら、ある期間使用されているカッター、タイストラップの底は、高速回転しながらガイドバーと接しているので、磨耗して、形が変わっている。これに新しいものを繋ぐと、スプロケットなどにいろいろな悪い影響がでてくる。ソーチェーンが切れた場合は、新しいものと交換するのが適切。
ソーチェーンは、スプロケットという歯車で回されるので、当然同じピッチでなければならない。ピッチとは、歯車の歯と歯の山の間をいい、(B)のスプロケットの①から②の間の寸法のこと。ソーチェーンでは、(A)の①のリベットと②のリベットの中心から中心の間の長さの2分の1を1ピッチという。
ほとんどのソーチェーンは、「インチ」が採用され、0.404インチ、3分の3インチ、4分の1インチ、0.325インチなどがある。1インチは25.4ミリだから、0.404インチだと約10.3ミリになる。この表示は、小数か分数かどちらかに統一されていれば分かりやすいが、そうはなっていない。例えば、0.404インチは分数で表すと250分の101インチ、0.325インチは500分の162.5インチとなって呼び難いので、小数で呼ぶ。8分の3=0.375インチ、4分の1=0.25インチだから、どちらも呼びやすく、メーカでは、都合のいい方を使う。
①はソーチェーンのドライブリンク、③はガイドバーで、②と②の間は溝の広さを示す。これをゲージとよぶ。1000分の50インチ、1000分の63インチなどがある。ソーチェーンとスプロケット、ガイドバーなど、この寸法が一致しないと使用できない。
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■チェーンオイルについて
ソーチェーンは、ガイドバーのp上を秒速30~40メートルぐらいで走り、そのうえ鋸断という強い圧力をと抵抗を受けるので、チェーンオイルを供給してやらなければ、ソーチェーンやガイドバーが焼きついて使用不能になる。初期の頃は、手押しポンプで供給していたが、今ではほとんど、エンジンの回転を利用した自動供給装置を使用している。(大型チェーンソーでは、手動と自動の両方付いたものがある)
オイルタンクからオイルポンプによって吸い上げられ、ガイドバーの溝に流れ込み、ドライブリンクでかき上げて、ガイドバーとソーチェーンの潤滑作用をする。
最近の「オレゴン」ソーチェーンは、ほとんど写真の矢印の○部分が突起している。写真のようにタイストラップは、外側に出っ張っており、ここにオイルを溜めるようになっている。これをオイルポケットとよぶ。また、ガイドバーの先端は、ソーチェーンの回転との鋸断によって強い力で引っ張られるので、オイルを多く必要とする。このほか、ソーチェーンを繋いでいるリベットも同様にオイルを必要とする。リベットはソーチェーンの大小や長さによっても違うが、100本以上付いている。リベットは、カッターなどと繋ぎ合わされており、曲折しながら高速で走っているので、ちょうどベアリングのような役目をしている。このリベット部分が、オイルを要求する。空になったのを知らないで、しばらく鋸断を続けると、ソーチェーンは動かなくなる。これを「ガイドバーが焼けて延びたせいだ。」と思っている人がいるが、実はリベットが焼き付いて、このような結果となる。
チェーンオイルは、チェーンソーの販売店やガソリンスタンドで売っているものを使う。廃油やあまり質のよくないオイルは避ける。ガイドバーやチェーンソーを傷めることになる。
自動給油の排出量が少ないという苦情を聞くが、多くの原因は、刃が切れないのを無理して使うからである。チェーンソー・メーカーは、カッターの切れる状態で、チェーンオイルの排出量を決めている。ソーチェーンは樹脂によって汚れているのも、切れない原因となる。
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■まとめると
① 上刃目立て角は、25~35度にすること。
② 横刃目立て角は、75~90度にすること。
③ 上刃切削角は、60度くらいにすること。
④ 刃の長さは、必ず揃えること。
⑤ デプスゲージは、1000分の20から1000分の30インチにすること。
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さあ、後は基本に忠実、実践で試行錯誤で経験を積もう。Let's try!! |