3月21日の”ソーチェーンの正しい目立て【仕組み理解編】に続いて、目立てをすることの大切さをしみじみと噛みしめよう、って趣旨ですね。
何でも物事の理論・理屈・何故そうなるのか、をきちんと理解していることは大事なこと。理屈がわかるから、こうしなきゃいけない、があるし、応用が働く、ってものだよね。しかしながら、ソーチェーンに限って言えば「基本に忠実」、だろうね。経験を積まないといけない。
『刃物は泣くほど研げ、笑うほど切れるぞ。』
なのだってね。うまいこと言うではないか。
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『ソーチェーンはノコギリである。 ノコギリは刃物である。刃物は切れなければならない。』
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図 |
解 説 |
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では、”目立ての大切さ”ってことで著者はカッターの刃が短くなってくると、ほとんどの人が切れ味が悪くなると使用者の人から聞くという。理由は、鉛筆でも短くなれば使いにくくなる、と。
これは間違いらしい。ヤスリの上げ過ぎや下げ過ぎは、上刃切削角を変えてしまう。同じように目立てでヤスリの太いものや細いものを使うと切削角を変えてしまうのだ。
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Aのようにヤスリの直径5分の1くらいのところで、上刃を研ぐと55度くらいの適当な切削角がでる。
同じヤスリで短くなった④の上刃を研ぐと、切削角は②の場合よりかなり鈍角となる。これが切れ味の悪い原因となる。
⑥:ヤスリの高さ
①、③のヤスリの太さは同じ、⑤は逃げ角があるために、③のヤスリは上刃から5分の1以上、上に上がった部分を上刃に当てることになる。
これを解消するためには、カッターの上刃の長さが大体半分ぐらいになったら、一回り細いヤスリを使うこと。
BのヤスリはAより一回り細いヤスリを使っている。すると、この細いヤスリで④を研ぐと、②の角度とほとんど変わらない適当な切削角が得られ、同じ切れ味を保つことができる。切削角を理解しておくことが大事。
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①は③の線に対して最初からヤスリの位置が高くなっている。目立てをしているうちにだんだんと擦り上がってきて、②に示した富士の裾野のようになってくる。当然、施策角は鈍角になる。逆に、ヤスリが下がりすぎてフック状になれば、上刃の切削角は鋭角になってくる。
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【切り曲がりの原因】
(1)左右のカッターの長さが違う。
①の右カッターと②の左カッターの長さが違う。一般的にいって左カッターは擦り易く、右カッターは擦りにくいので、このような形になる。
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(2)左右のカッターの形が違う。
①の右カッターはフック型、②の左カッターはバックスロープ型になっているため、双方の切れ味の違いによって切り曲がりが生じる。 杉のように柔らかい木を切ったときは、①のカッターが②のカッターより切れるので、先の方に向かって左に曲がる。堅い木を切るとフック型のカッターの刃先が刺さり、ブレーキになって逆に曲がる。
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(3)上刃切削角が違う。
①の右カッターと②の左カッターは、長さは一見良さそうに見えるが、横から見た部分を拡大してみると、①は正しい横刃、②は富士山の裾野のような形になっていて、ヤスリが浮き上がっている。双方の上刃切削角が違うので曲がる原因となる。
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(4)片側カッターに傷が付いている。
カッターを上から見ると、①、②の右側のカッターは意志を切ったようなキズが付いている。刃先を全部潰しているために、右側のカッターはまったく切れないので、切り曲がりが生じる。
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(5)左右のカッターで上刃目立て角が違う。
カッターを上から見ると、①の左カッターは鋭角ぎみ、②の右カッターは鈍角ぎみになっているので、当然切り曲がりが生じる。左右の上刃目立て角が違う、すなわち、横刃切削角が違うということ。
(6)上刃の目立て角度、形が違う。
ソーチェーンには30個くらいのカッターが付いているとして、違う形の刃や長さの違う刃になって交互に長短があると、このような目立てをしては切れないし、切り曲がりになってくる。
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(7)デプスゲージによるもの。
①、②はデプスゲージを示したもの(黒く塗りつぶした部分)。
①は右側の列のカッター全部が低い場合で、②は左側の列部分が高い場合。高さの違いから曲がって切れる。
(8)ガイドバーによるもの。
①はガイドバーの溝が摩耗したもので、②のソーチェーンは左右どちらにでも傾くようになってくる。そのため、④のカッターのあさりが、ガイドバーの点線③の内側に入ってしまい(逆に、向かって左側にも倒れる)、あさりの役目を果たさなくなってくる。これでは切り曲がりする前に、ソーチェーンに材にくい込んでいかない。
ガイドバー亜修理不可能(できないことはないが高価)で、新しいものと交換しなければならない。切り曲がりをするソーチェーンを長期間使用したことによる、ガイドバーの偏摩耗。
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■刃の形と鋸屑の関係
刃型及び切れる刃や切れない刃と、鋸屑の関係を示したもの。
①は正しくよく切れる刃で伐ったもので、鋸屑は幅が一定して長くつながっており、しかも両側が鋭い刃物で切ったようになっている。丸太の木口はなめらかで、木によっては年輪が浮き上がってように見え、大変美しい感じがする。
②はフック型で切ったもの。鋸屑は幅がまちまちで、切り粉が混じる。鋸屑の両側が切れていない。横刃が抉り込んでしまって、側面を切らないで上刃だけで無理にかきむしったような状態。溝きりの作業で側面を切っていないため。
③は、バックスロープ型または刃先のつぶれたものを使って切ったもの。まったく切れていない。このようなときは、ソーチェーンがスリップして熱を持ち、煙がたつこともある。この粉のような鋸屑は、エンジン部分に吸い込まれて、いろいろな故障の原因にもなるし、細かい粉なので、エアークリーナーをつまり易くし、燃料タンクやオイルタンクに入りやすく、燃料の通路やチェーンオイルの通路をふさいだり、その他いろいろ故障の原因となる。
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■石を切ったら何故切れなくなるか?
AはBのカッターの上刃部分を拡大して、横から見たもの。①は上刃の厚み、②は上刃切削角、④は鋭利な刃先。上刃の表面③と横刃の表面(表側)には、白くメッキ(クロームメッキ)がされている。このメッキは底辺薄く、ミクロンの単位とも言われている。(厚くすればよいというものではないようで、メーカーの企業秘密でもある)
①の上刃は、ヤスリのかかる鋼材、⑤のヤスリで研ぐと、②の切削角が出来、④の刃先にメッキ部分が残る。実は、これが大切な刃先になる。このメッキ部分が石に当たるとメッキは剥がてしまう。
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※石を切るのはたった一秒のタッチ、修正、研ぎ直しには1時間はかかる。石があれば、石を完全に取り除いてから作業すればよい。
※カッターはどのように消耗されるか。
①1/4が実際の鋸断に使用される。
②1/4は目立てのためにヤスリで擦り落とされて消耗する。
③1/4は不注意に砂や石を切っている。
④1/4はカッターが短くなったときに、上刃切削角のことなとを理解していなくて、切れ味が悪くなったとして、不用意に新品に交換してしまう。
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今日はここまでとし、次回は、「チェーンソーの目立てのしかた実践編」として、話を進めよう。 |