以下の著書からトピックスとなるものをピックアップしていこう。
参考書籍:「「うつ」がいつまでも続くのは、なぜ?-双極Ⅱ型障害と軽微双極性障害を学ぶ」
「うつ」がいつまでも続くのは、なぜ?-双極Ⅱ型障害と軽微双極性障害を学ぶ
ジム・フェルプス 荒井 秀樹
|
■内容紹介
うつ病と診断される人が増えている中、「落ち込んでいる」とか「意欲がわかない」といった抑うつ状態が長期間にわたり持続したり繰り返したりする人たちを、すべて同じうつ病と診断していて間違いはないのか? 本書は、長引く抑うつ状態に苦しんでいる人に対して、双極II型障害や軽微双極性障害を念頭において、診断や治療を見直しながら、主治医とともに病気を克服していくための対処方法を示している。また気分障害をスペクトラムとしてとらえる考え方を学ぶ。
■内容(「BOOK」データベースより)
うつが長いこと持続したり、繰り返したり、より悪くなる、などということはありませんか。抗うつ薬をのんでも効果がないとかより悪くなるということはありませんか。もしかすると、うつ病ではないのかもしれません。繰り返すうつの波は、「軽微な」双極性障害のせいかもしれません。本書は、気分障害スペクトラムの概念を詳説し、すぐに実践できる対処法を紹介する。
|
双極性障害と一緒に起きることが多い(併発)病気を見ていこう。
これらは強い気分障害の要素を持っていないため、自分たちの症状に当てはまるとは限らない。・言い換えれば患者は不運なことに、互いに無関係で別々の治療を要する二つのメンタルヘルスの問題を抱えてしまっていることがある。 (医学用語では二つの違った障害が同時に起きることを「併存状態(コモビディティ)という)
しかし双極性障害の治療をするだけで、これらの病気が回復へ向かっていこと多く、これらの症状がもともと双極性障害の気分障害の一部だった(または双極性障害によって症状といわれるレベルまで悪くなってしまっていた)と考えられる。
双極性障害は、精神科診断の主な種類のほとんどの疾患と併存する可能性がある。
診断上の不安障害という分類だけの話ではなく、不安障害と双極性障害の併発こそ問題となる。
なぜなら不安障害の治療にもっともよく使われる薬が抗うつ薬であるため。
これは多くの人に効く。
問題なのは、気分障害スペクトラムの症状と併存したり、実際に不安障害が双極性障害の一部であったりした時、つまりある程度の双極性障害をもっている時である。不安症状に対して使う抗うつ薬が双極性障害を悪化させる危険性を考慮しなければならない。
すべての不安障害には、多くの場合薬物治療と同様かそれ以上の効果のある心理療法が存在している。しかし、これらの治療は広く知られていない。どこでも受けられるものではない。結果的に、不安が際立っていて(気分障害スペクトラムの要素)も、気分や意欲の周期性変化が目立たない患者の多くでは、抗うつ薬の治療を受ける事になるだろう。
不安障害が双極性障害の一部である場合もある。気分障害スペクトラムの症状が上手く抑えられない時は、不安症状が原因とみられる。確かに不安は一般的に双極性障害の症状とみなされていない。
双極性障害と併存すると思われるものに触れていこう。
-
◆Ⅰ-2.強迫性障害(OCD)
軽躁病が抑えられれば、OCDのように見える強迫的な思考が完全になるなることもある。
しかし、古典的なOCDの脅迫や戸締り確認や手洗いのような付随行為の症状が残ることもある。
一般的に軽躁病が悪くなると、OCDも悪くなる。
精神科医はどんな場合でもこの二つの症状があれば、まず双極性障害を治療すべきだという意見で一致する。
気分は安定していて、OCDの症状が残り、追加治療が求められるほどの問題が出てきたら、基本的に二つの選択肢がある。
(1)暴露反応妨害法(ERP)と呼ばれるOCDの専門的治療法
(2)抗うつ薬による薬物療法
(2)の抗うつ薬の薬物療法より、認知行動療法の技術を持つセラピストと(1)のERPに取り込むことが効果的。
(著者の見解では)著しい双極性障害があるのであれば、抗うつ薬の投与は最後の手段で考えるべき。
しかし双極性障害において抗うつ薬の使用についてはいまだに議論されているところ。
ページの先頭へ
(xxx)
|