以下の著書からトピックスとなるものをピックアップしていこう。

参考書籍：「「うつ」がいつまでも続くのは、なぜ？-双極Ⅱ型障害と軽微双極性障害を学ぶ」

双極性障害と一緒に起きることが多い（併発）病気を見ていこう。

Ⅰ．		不安障害
	1.	対人恐怖症・社会不安障害
	2.	強迫性障害（ＯＣＤ）
	3.	パニック障害
	4.	心的外傷ストレス障害（ＰＴＳＤ）
	5.	全般性不安障害（ＧＡＤ）
Ⅱ．		注意欠陥障害（ＡＤＤ）
Ⅲ．		パーソナリティ障害
Ⅳ．		物質乱用障害
Ⅴ．		精神障害
		（Ⅲ、Ⅳ、Ⅴについては触れない）

これらは強い気分障害の要素を持っていないため、自分たちの症状に当てはまるとは限らない。・言い換えれば患者は不運なことに、互いに無関係で別々の治療を要する二つのメンタルヘルスの問題を抱えてしまっていることがある。　（医学用語では二つの違った障害が同時に起きることを「併存状態（コモビディティ）という）

しかし双極性障害の治療をするだけで、これらの病気が回復へ向かっていこと多く、これらの症状がもともと双極性障害の気分障害の一部だった（または双極性障害によって症状といわれるレベルまで悪くなってしまっていた）と考えられる。

双極性障害は、精神科診断の主な種類のほとんどの疾患と併存する可能性がある。


診断上の不安障害という分類だけの話ではなく、不安障害と双極性障害の併発こそ問題となる。
なぜなら不安障害の治療にもっともよく使われる薬が抗うつ薬であるため。
これは多くの人に効く。
問題なのは、気分障害スペクトラムの症状と併存したり、実際に不安障害が双極性障害の一部であったりした時、つまりある程度の双極性障害をもっている時である。不安症状に対して使う抗うつ薬が双極性障害を悪化させる危険性を考慮しなければならない。

すべての不安障害には、多くの場合薬物治療と同様かそれ以上の効果のある心理療法が存在している。しかし、これらの治療は広く知られていない。どこでも受けられるものではない。結果的に、不安が際立っていて（気分障害スペクトラムの要素）も、気分や意欲の周期性変化が目立たない患者の多くでは、抗うつ薬の治療を受ける事になるだろう。

不安障害が双極性障害の一部である場合もある。気分障害スペクトラムの症状が上手く抑えられない時は、不安症状が原因とみられる。確かに不安は一般的に双極性障害の症状とみなされていない。

双極性障害と併存すると思われるものに触れていこう。


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◆Ⅰ-3.パニック障害

パニック発作は、突然起こるエピソードで、20～30分ほと激しい不安に襲われ、その後徐々に治まる。パニック発作は、双極性障害で起こる数時間以上一日未満続く不安状態とよく混同される。
調査によると認知行動療法(CBT)が短期的には薬物治療と同じくらい効果があり、長期的にみると薬よりも効果が期待できる。

パニック障害で使われる薬は何か？

やはり抗うつ薬である。
CBTには良い反応を示しても、再発率は50%ある。
しかし抗うつ薬でパニック発作がなくなったとしても、徐々に薬を減らしてから六カ月後、再発率は75%に上がってしまう。
(著者の見解では)パニック障害を持つ患者の多くでは、双極性障害の併存の有無に限らず、抗うつ薬を使う前に心理療法のアプローチを考えるべき。）


パニック発作は、土でできたダムのある大きな湖のようなもの。
ダムの水かさが限界近くに達していれば、雨一粒でも氾濫し始める。
少し漏れだすと、ダムはまたたくの間に破壊され、湖全体が一斉に流れだす。
落ち着いて振り返れば「雨粒みたいな小さなものでなぜパニックが起きたんだろう？)｣と思うだろう。
問題なのは明らかに雨粒ではなく、その気持ちの水位にある。水位を上げるものなら何でもパニック発作を引き起こす可能性がある。
心理療法ではいくつかの手法を使って、気持ちの水位を下げられる。

一般的に軽躁病は、水位を上げてしまう。
軽躁病を治療することで、パニック発作が治まることがよくある。
それでも治まらなければ、心理療法が役立つかもしれない。
発作の激しさと起こる回数が抑えられるだろう。


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