『ジャンヌ・ダルク処刑裁判』高山  一彦(著) 2019
7/22
月曜日

先日読んだ『奇跡の少女ジャンヌ・ダルク』レジーヌ・ペルヌー(著)から、ジャンヌの火刑に処せられた経緯を詳しく知りたい欲望が強くなり、探せば本書のような書籍があるではないか。丁寧に読んでみた。

・小説ではない。
・ジャンヌ・ダルクの宗教裁判である。
・写本を元に複数バージョンある中で精査された正確な記録である。600年前の記録がこれだけ残っていることにも驚くが。
ジャンヌは、ブルゴーニュ公配下の兵士にコンピエーニュで捕獲され、ポールヴォアールで塔に幽閉され、塔から飛び降りるが気を失い、イギリスに売られ、ルーアンに移動し、1931.1.31~3.25:予備審査、1931.3.26-5.24:普通審理、1931.5.28~5.30:異端再犯の審理、そして5.31の火刑にて処刑された。遡り、ジャンヌはオルレアンで兵士を鼓舞し、イギリスを押し返し解放し、皇太子シャルルをランスに遠征させ載冠式で国王に押し上げた。有言実行をしたジャンヌは英雄として称えられるべきで、庶民の間では圧倒的な人気があった。国王自身は次第に疎ましくなってきたのだろう。そもそも「処刑裁判」はジャンヌに異端者の罪名を着せてシャルル七世の載冠を「否認」することでもあった。司教ばかりではなく、博士連中、パリ大学の禅学部も寄って集って・・の感もある。ジャンヌも神、天使、聖女カトリーヌ、マルグリッドから直接の公現、啓示を受けたことを一歩も譲らなかった。「『神のお告げ』」にすべて基づいて行動をしています」を容認すればカトリック教会の威厳、信用、権威失墜、奈落の底に落ちる。だから何があっても認めることはできなかったのだろうと察する。

火あぶりの刑の恐怖心から改悛の誓いで署名するが(この段階で生涯、パンと水の牢屋に投獄が決まったのだが)、最期は自分の信念を曲げることなく、異端のレッテルを貼られた。時代が時代とはいえ、あまりにも理不尽で報われない、怒り心頭となる。

ジャンヌ・ダルク処刑裁判

白水社
売り上げランキング: 461,055
登録情報
単行本: 404ページ
出版社: 白水社; 新装復刊版 (2015/5/9)
言語: 日本語
ISBN-10: 4560084394
ISBN-13: 978-4560084397
発売日: 2015/5/9
内容紹介
「オルレアンの乙女」として伝説につつまれてきた少女が、教会裁判にかけられ、異端の判決を受けて破門・火刑に処せられるまでの全過程を、第一人者の詳細な調査で明らかにする。(書物復権)



Copyright (C) 2019 Shougo Iwasa. All Rights Reserved.