『風神の門(上下巻)』司馬遼太郎(著) 2016
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時は関ヶ原の役から、十数年。徳川家康は目の上のたんこぶであったろう豊臣家を抹殺するため大阪城冬の陣を迎えつつあった。ここで、真田幸村を師とする甲賀忍者、猿飛佐助、ひょんなことから流れに巻き込まれてしまう一匹狼的な伊賀忍者、霧隠才蔵の話しである。甲賀忍者と伊賀忍者、いずれも各種、遁(とん)の術の使い手の忍者である。甲賀者、伊賀者では忍者といえどもどう違うのか、同じなのか、考えたこともなかったのだが。なるほど、思考、忠義、忍術、行動、己の身の処し方に違いがあるのかと知った次第である。本書の主人公、霧隠才蔵は、これまた美女にもてにモテルという主役にする条件を備えているのである。「大阪 冬の陣、夏の陣」は司馬遼太郎氏の『城塞』に詳しい。著者の信条なのか、他作品に書かれていることと内容がオーバーラップしないように配慮されているのだろうか。つまり、関連する著書を読むことで話しのピースがピタッと納まるのである。単独作品としても本書は楽しめるが、「関ヶ原」「城塞」と順追って読まれると本書の面白みが倍加されるだろう。歴史的背景の伏線描写が本書だけでは欠乏するということである。

風神の門 (上) (新潮文庫)
司馬 遼太郎
4101152349
登録情報
文庫: 488ページ
出版社: 新潮社; 改版 (1987/12/29)
言語: 日本語
ISBN-10: 4101152349
ISBN-13: 978-4101152349
発売日: 1987/12/29
風神の門 (下) (新潮文庫)
司馬 遼太郎
4101152357
 登録情報
文庫: 451ページ
出版社: 新潮社; 改版 (1987/12/29)
言語: 日本語
ISBN-10: 4101152357
ISBN-13: 978-4101152356
発売日: 1987/12/29

内容紹介
猿飛佐助の影となって徳川に立向った忍者霧隠才蔵と真田十勇士たち。屈曲した情熱を秘めた忍者たちの人間味あふれる波瀾の生涯。




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