朝、7時からミスドで、残り55ページを慈しむようにヘッドラインの本を読み終えた。
フィリップ・K・ディックの訳者としては、大変旨いぞ、と唸る朝倉久志さんの文末の解説を読むと、このように描かれている。
『ディックがアメージング誌の六三年一二月号に発表した「パーキイ・パッドの日」『ザ・ベスト・オブ・P・K・ディック収録』という短編があります。 当時、バービー・ドールが異常なブームを呼んだことからアイデアを得たというこの短編には、ディックがよく扱う”過去と深く関わり合うことの危険性”というテーマが、明確にうち出されています。 比較してお読みになることをおすすめしますが、この短編が、本書『パーマー・エルドリッチの三つの聖痕』の原型であることは、間違いないでしょう。 長篇では、舞台がアメリカ西海岸から火星に移され、植民者たちがみじめな日常から逃避するために、幻覚剤を使って模型の世界にのめりこむ、というふうに手が混んできます。 そして、ディックがつねに追い求めているテーマである、”現実の相対性に関する考察”がこのへんから顔を出してくるわけです。』
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文庫: 351ページ
出版社: 早川書房
発売日: 1984/12 |