『パーキー・パットの日々』フィリップ・K・ディックを読んで 2009
8/25
火曜日

 今回もフィリップ・K・ディックの短編集「パーキー・パットの日々」を読み終えた。 本書は、1977年にジョン・ブラナー選によって刊行された短編集「THE BEST OF PHILIP K. DICK」の訳書(二分冊の上巻)。 下巻は注文中の「時間飛行士へのささやかな贈り物」となっている。 収録作品は、10編で、

  1. Beyond Lies The Wub ウーブ身重く横たわる (1952) 大森望・訳
  2. Roog ルーグ (1953) 大森望・訳
  3. Second Variety 変種第二号 (1953) 友枝康子・訳
  4. Paycheck 報酬 (1953) 浅倉久志・訳
  5. Imposter にせもの (1953) 大森望・訳
  6. Colony 植民地 (1953) 大瀧啓裕・訳
  7. Expendable 消耗員 (1953) 浅倉久志・訳
  8. The Days Of Perky Pat パーキー・パットの日々 (1963) 浅倉久志・訳
  9. Breakfast At Twilight たそがれの朝食 (1954) 浅倉久志・訳
  10. Foster, You're Dead フォスター、おまえ、死んでるところだぞ (1955) 友枝康子・訳

 犬の視点で人間を見た「ルーグ」や、昆虫が意思を持っている「消耗員」、クーロン人間になりすました宇宙人を描く「にせもの」、映画にもなった「ペイチェック」、その他、地球が核や水爆で汚染され、その後、人間がどのような生活を送るのだろうか、近未来を予測した、荒廃した地球の描写や人間模様が、いかにもSFっぽさと好奇心を掻き立てる。 多少、説明がまわりくどい部分もあるが、アイデアや発想の着眼点が、50年以上も前に書かれたのだと思うと、うーん、と、これまたディックらしさに唸るのだよね。 フィリップ・K・ディックを知らずして、SFを語るな、と言いたくなってしまうね。 じゃ。(2009/08/25 23:08)


文庫: 410ページ
出版社
: (ハヤカワ文庫SF)
(文庫)
発売日: 1991/01

内容(「BOOK」データベースより)
 火星人との戦争で人類はかつての豊かな生活を奪われた。地下シェルターに暮らすカリフォルニア地区の住民に残された楽しみといえば、パーキー・パットという女の子の人形と古き良き時代の町の模型を使うシミュレーション・ゲームだけ。そんなある日、オークランド地区ではパットよりずっと成熟した女性人形を使っているという噂が…。表題作ほか、処女短篇「ウーブ身重く横たわる」など鬼才ディックの傑作短篇10篇を収録

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