『牡丹酒』山本一力著 2010
2/10
水曜日

 夕方から、品川でプロジェクトから2名の異動した方の送別会が行われた。送る側、送られる側、それぞれ切磋琢磨と一途に尽くした仕事仲間というのはいいものだね。

 さて、最近、読書量が落ちているが、息抜き的に山本一力さんの本は気軽に読める。もう20冊近く読んだのかもしれないが、『牡丹酒―深川黄表紙掛取り帖【二】』を読んだ。彼の作品は構える必要はまったくないからね。正月に読んだ『深川黄表紙掛取り帖』山本一力著』の続編的で、話しは南国土佐、江戸、大坂(昔は大阪とは書かなかった)を中心に繰り広げられる。

 登場人物は、前作に引き続き、蔵秀、宗祐、辰次郎、雅乃を中心とした痛快劇で、道中の有様や、いつもながら美味しい食べ物、すぱっと人が人を信じることの、仁義というのか、驕らない謙虚さが、人と人とのつながりの輪を拡散しながら、そして心も温かくしてくれ、登場人物を一層魅力的に引き立てていて、強大な源泉となっている。蔵秀と雅乃の相思相愛ながら、それでいて芯から言い出せないもどかしさ、しかしいつかは添い遂げるだろう、そうであってほしいと読者に思わせる。地べたにしっかり足を着けた本だ。

文庫: 457ページ
出版社: 講談社 (2009/10/15)
ISBN-10: 4062764512
ISBN-13: 978-4062764513
発売日: 2009/10/15
 内容(「BOOK」データベースより)
「ひとに媚びない、生一本な味だ」。定斎売り蔵秀、女絵師雅乃、文師辰次郎、飾り行灯師宗佑の裏稼業四人衆は、柳沢吉保をも唸らせた土佐の銘酒・司牡丹の江戸での広目を請け負う。佐川村までの道中厄介ごとを片付けつつも、知恵と技を揮った大仕掛けは今度も首尾よく運ぶのか!?シリーズ第2作遂に文庫化。

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