日本陸海軍機大百科、『九九式双軽爆一型』[キ48-I] 2010
1/22
金曜日

 シリーズ第九弾は、川崎の『九九式双軽爆』。日本陸軍における「軽爆撃機」の定義とは、航空撃滅戦に使用し、主に敵飛行場にある飛行機、及び諸施設の破壊に任ずるもの、であって、単発と双発の2種類があった。まず、爆撃機は2本立てにするのが望ましいと考えられ、ひとつは爆撃搭載量、航続力ともに大きい双発の「重爆撃機」であり、もうひとつは重爆撃機に比べて半分程度に小さく、小回りの利く単発の「軽爆撃機」。国産調達機は昭和2(1927)年制式採用の八七式重爆、八七式軽爆のコンビだった。

 昭和12(1937)年12月、陸軍は川崎に対し、キ48の番号により一社特命の形で次期新型双軽爆の試作を発注した。スペックは100kg以下の爆弾計300kgを搭載して、行動半径800km、プラス1時間の余裕を有すること、と規定されていた。キ48の設計は川崎ではお馴染みのチーフ的存在は土井武夫氏であった。彼は、高アスペクト比の主翼と、空気力学的に洗練した胴体、発動機ナセル(覆い)を組み合わせれば、自ずと高性能かつバランスのとれた機体が実現できると、かねてから信条にしていた。そして、昭和14(1939)年7月1日に1号機を完成させた。

パソコンのモニターの前で撮影

『九九式双軽爆一型』[キ48-I]

 発動機は空冷の中島製「ハ二五」(990hp)、キ48の胴体前半部の下面には、金魚の腹のように膨れ、縦長断面形、乗員4名(①爆撃手兼前方銃手、②操縦士、③無線手兼下方銃手、③後上方銃手)が配備された。足(航続距離)が短いこともあって有効な成果は上げられられなかった感が強いが、運動性に優れ、小さな目標に対しても緩降下爆撃を交えた正確なピンポイント攻撃ができる能力が功を奏して、期待に応える戦績は残したとも言える。
 次回は『彗星一二型』をお楽しみに。(2010/01/22 23:33)

※サイト:日本陸海軍機大百科


Copyright (C) 2010 Shougo Iwasa. All Rights Reserved.