『ビリー・サマーズ』スティーヴン・キング(著) 2024
4/19
金曜日

原書はBILLY SUMMERS(2021)作品


【上巻】こんなに永くS・キングの小説に触れられるとは思いもせず、新刊を読んでいる。キャリーの出版は1974年だから半世紀、最初は売れる作家ではなかったが、今では何を書いても許されもし、売れもし、全世界に数え切れるほどのファンを抱えている。70年代中盤では呪われた町、シャイニング、短編のナイトシフトから、怖さも加速して、しかし読まずに死ねよか、の状態だった。本書、なるほど、作家をこのように登場させるか、また、主人公の伏線を丁寧に描き、人物も平坦ではなく起伏のある伊吹を吹き込むこともいつものこと。いんじゃない。

【下巻】キング自身はこのような小説を書きたかったのだろうな、とつくづく思う。若かりし頃、ホラーや奇抜なストーリーテラーだったが、怖いもの見たさ・読みたさの小説も懐古主義的に今でも執筆してくれないかとは思うこともある。誰かを傷つけると、それは自分の傷として残ってしまうと文中表現があったが、それは同感するところ大。独り勝ちはなく、しっぺ返しも含めで、自分で蒔いた種は自分で刈り取らなければならない、究極の戒めではないだろうか。そういった人生の収支・損益・幸・不幸・正負・光影は何かしら帳尻が合うようになっているんだと。




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