『ロージーとリンゴ酒』ローリー・リー(著) 2023
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水曜日

原書は、CIDER WITH ROSIE(1959)

時は第一次世界大戦を境に、英国はコッツウォールドの田舎村で育った少年が大人になるまでに見聞・体験した話を中心に時系列に話は進む。文明も中世の余韻を残す馬、乗合馬車が中心で、ろうそく生活、用事があれば何マイルでも歩いて運賃を節約するのが普通の時代。交通も馬車からバス・車に変遷する中、古き良き村の習慣が損なわれ均一が図られ、村全体が様変わりしていく様相も見て取れる。現代が「よい」とも「悪い」とも判断できないけれど、何ていうのでしょう、不便であることが「人間」らしい「暮らし」、「工夫」「改善」をする余地を残す、とは言えないか。ろうそくの生活、電気のない文明、それらの充分に恩恵に享受され、首までどっぷり浸かり切った現代人には想像しにくいのではないか。主人公(作家)の自慰的な描写も鼻にかかる部分はあるが、まあまあ、じゃないだろうか。

英ガーディアン紙が選ぶ「死ぬまでに読むべき」必読小説1,000冊  家族・私小説:159/1,000作品中

登録情報
出版社 ‏ : ‎ 近代文芸社 (2004/7/1)
発売日 ‏ : ‎ 2004/7/1
言語 ‏ : ‎ 日本語
単行本 ‏ : ‎ 337ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4773371668
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4773371666

内容(「BOOK」データベースより)
黒人の少女クローディアが語る、ある友だちの悲劇―。マリゴールドの花が咲かなかった秋、クローディアの友だち、青い目にあこがれていたピコーラはみごもった。妊娠させたのはピコーラの父親。そこに至るまでの黒人社会の男たちと女たち、大人たちと子供たちの物語を、野性的な魅惑にみちた筆で描く。白人のさだめた価値観を問い直した、記念すべきデビュー作。







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