『眠れる美女たち(上下巻)』スティーヴン・キング(著) 2021
6/12
土曜日

上巻:紆余曲折はありましょうが、下巻に向けてどう収束していくのでしょうか。確かに上巻の2/3位までは、冗長的で発散気味で、話に集中しにくいように感じました。なので、アウトサイダーを途中から読んでしまいました。

下巻:どうも間延び間延びな読書となり、集中力欠如。イーヴィの能力、繭にくるまれる女性たち、反対側の世界、キングワールドは何があってもアクセプトだけれど、今回は必然性の視点でいえばインパクトはあるにせよ、着地点が曖昧で頓挫感が拭えていない。何故に繭なのか?しかし、さすが熟年のキング、個々の登場人物を最後まで丁寧に描写するところは熟年の域だろう。ハッピーエンドにはならない人生の九十九折り道、パッチワーク的縫い合わせは、若手作家が到達不可能な境地ではあると感じるのだよね。息子との共作はどうたろう。親心、親の七光り、口出しを極力抑え、我が子に自信を持たせようとするかのようで。

登録情報
出版社 : 文藝春秋 (2020/10/29)
発売日 : 2020/10/29
言語: : 日本語
単行本 : 469ページ
ISBN-10 : 4163911561
ISBN-13 : 978-4163911564
登録情報
出版社 : 文藝春秋 (2020/10/29)
発売日 : 2020/10/29
言語: : 日本語
単行本 : 447ページ
ISBN-10 : 416391157X
ISBN-13 : 978-4163911571
内容(「BOOK」データベースより)
上巻:女子刑務所のある小さな町、ドゥーリング。平穏な田舎町で凶悪事件が発生した。山間部の麻薬密売所を謎の女が襲撃、殺人を犯したのちに火を放ったのだ。女はほどなくして逮捕され、拘置のために刑務所に移送される。彼女の名はイーヴィ。世界を奇妙な疫病が襲いはじめたのはこの頃だった。それは女たちだけに災いする「病」―ひとたび眠りにつくと、女たちは奇妙な繭状の物質に覆われ、目を覚まさなくなったのだ。繭を破って目覚めさせられた女たちは何かに憑かれたかのように暴力的な反応をみせることも判明する。世界中の女たちが睡魔に敗れるなか、謎の女イーヴィだけが眠りから逃れられているようだった。静かな町がパニックの空気で満たされはじめる。睡魔にうち勝とうとする女たち。取り残され不安に蝕まれる男たち。やがて町にふりかかるカタストロフィは、まだ水平線の向こうにある!巨匠スティーヴン・キングが、作家である息子オーウェンとコンビを組んで放った、圧倒的パンデミック・ホラー巨編。まさにキング印の物語の大波が、読者を巻き込んで怒涛をなす!

下巻:眠りについた女たちは「別の世界」で目をさます。そこは廃墟に様変わりしたドゥーリングの町。さまざまな事情を背負う受刑者、刑務所長、平凡な主婦だった者、あるいは妊婦。彼女たちは、それぞれにできることを担いながら、彼女たち以外に誰もいない世界で生き延びようとする。残された男たちのあいだでは恐怖と不安がつのっていた。繭を破れば凶暴化する女たちへの恐怖。眠ってしまった女たちが二度と目覚めないのではないかという不安。伴侶や娘を失った者は絶望し、まだ眠っていない女たちは睡魔から逃げのびようと苦闘する。しかし女を憎悪する男たちは眠る女たちを焼殺しはじめた。一方、謎の女イーヴィを刑務所で匿う男たちは、彼女を守ることこそが事態の解決に導くと信じるが、そこへ急進派の男たちが武器弾薬で武装して、イーヴィを始末すべく迫りつつあった。町はずれの森の中にそびえる巨木。この世ではない別の世界。女たちの死を悼むように舞う美しい蛾―奔放なイマジネーションが彩る物語は、壮絶なクライマックスへと突入する。世界最強の作家父子の唯一無二のパワーを目撃せよ。







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