『宇宙戦争』H.G.ウェルズ(著) 2020
7/11
土曜日

原書は、The War of the Worlds, HG Wells(1989)。

H.G.ウェルズ、古典的SF作家である。「モロー博士の島」「透明人間」「宇宙戦争(1898)」と読んだ。終盤以降の絶望感、心の葛藤、はたまた希望の兆しに転調する様がSF小説の看板を外してもとしても読物として秀悦でしょう。


「宇宙戦争」は監督:スティーブン・スピルバーグ、主演:トム・クルーズ, ダコタ・ファニングの映画(2005)がウェルズに捧げる現代版オマージュ作品だと気付くわけですが。

映画を見た方も多いでしょう。アマゾンプライムで今日、もう一度観ました。ストーリーの奇抜さもさることながら、僕はクルーズ演じる父親像が当時の僕の状況と心理的に密にオーバーラップするところ大で、クルーズに感情移入というか、気持ちが解りすぎて、ノックアウトされてしまって辛かったのです。当時の感情がフラッシュバックし、記憶に刷り込まれているんだな、とそちらに驚いた次第です。

しかし、侵略者、火星人の終焉が既知の病原菌による絶滅というところが、今のコロナウイルス感染症(COVID-19[コビッド・ナインティーン])と重なります。侵略者からみれば人間と永らく共存してきたウィルスも脅威だったということです。所詮、人類が築き上げてきた英知と文明社会をもってしても、新型ウィルスにはすぐさまに立ち行かないということです。そこでは脈々と層をなす歴史と文明は一夜にして人間たる牙城も崩壊させてしてしまうと大袈裟にいえばいえなくもないでしょう。

異常気象による災害も庶民を蹂躙するということでは、火星人(異星人)に侵略を受けているのとさほど変わらないのかもしれません。

トライポッドのミニチュアがほしいです。

英ガーディアン紙が選ぶ「死ぬまでに読むべき」必読小説1,000冊  SF/ファンタジー:150/1,000作品中

登録情報
文庫: 318ページ
出版社: 東京創元社 (2005/6/1)
言語: 日本語
ISBN-10: 448860708X
ISBN-13: 978-4488607081
発売日: 2005/6/1

内容(「BOOK」データベースより)
謎を秘めて妖しく輝く火星に、ガス状の大爆発が観測された。これこそ6年後に地球を震撼させる大事件の前触れだった。ある晩、人々は夜空を切り裂く流星を目撃する。だがそれは単なる流星ではなかった。巨大な穴を穿って落下した物体から現れたのは、V字形にえぐれた口と巨大なふたつの目、不気味な触手をもつ奇怪な生物―想像を絶する火星人の地球侵略がはじまったのだ。







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