上巻:遅ればせながら読んでますが、多量に売れているようですね。史実な部分と仮想をドッキングさせた物語、人物の個性にメリハリを付け、喜怒哀楽をもうひとひねり、まわして捻じり切る、といいましょうか。それぞれ演じる役者がいる。善い人へ変化していく様も窺えて、それまた、一路の人格・誠意が作用しているような、ですね。それにしてもたくさん読まれてますね。売れすぎると、このパターンの小説しか浅田さん、書けなくなるんじゃないか、と思いますね。
下巻:バラエティーに富んだ展開で、馬さんにも、池の鯉さんにも想いを語らせる、今までの浅田氏にはないコミカルさも。参勤交代は行軍は大賛成として、旅(と俗っぽく言うが)をすると出会いと事件が起きる。話はもずれいさかいがあり、なだめすかしつつも信念と正義と忠義心やら筆頭としての貫禄さやらが交わると涙を滲まさせる。混ぜこぜにしてもまとまりをもたせるのは技能だろう、と僕は思う。
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