『笑いと忘却の書』ミラン・クンデラ(著) 2020
6/11
木曜日

原書は、The Book of Laughter and Forgetting, Milan Kundera(1978)

この小説には気持を移入できなかった。三百頁を読むのに随分時間を要した。日に数頁、数日読まない日も。在宅勤務が数か月続き「通勤」の習慣が消滅した。朝な夕なに箱の中に閉じこもって揺られながら読む小説はここちよいことか。在宅という閉じられた世界の継続が、読書に集中できないのだろうか?

 さてさて、社会秩序が民主的ではない、抑圧された時代が続く人々はセックスに異常性を求める。要は快楽に逃避して一時の苦しみを忘却したいというのは至極まとも。正常心を保つため、人として尊厳を失わないため自然と身に付けていく繭のようなものではないか。他に楽しみがないのだからね。

英ガーディアン紙が選ぶ「死ぬまでに読むべき」必読小説1,000冊  ロマンス:149/1,000作品中

登録情報
単行本: 328ページ
出版社: 集英社 (1992/4/20)
言語: 日本語
ISBN-10: 4087731464
ISBN-13: 978-4087731460
発売日: 1992/4/20

内容(「BOOK」データベースより)
党の修正により、となりの男に貸した帽子を除いて、すべての写真から消滅した男。一枚の写真も持たずに亡命したため、薄れ行く記憶とともに、自分の過去が消えてしまうのではないかと脅える女…。〈笑い〉と〈忘却〉というモチーフが、さまざまなエピソードを通して繰り返しヴァリエーションを奏でながら展開され、共鳴し合いながら、精緻なモザイクのように構成される物語。







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