『タイム・シップ』スティーヴン・バクスター(著) 2020
5/7
木曜日

原書は、The Time Ships, Stephen Baxter(1995)

スケール感のあるSF小説ではある。銀河の誕生まで遡り、80万年未来まで時空を超えてストーリーは捻じ曲がりつつ、奇想奇天烈な展開をみせる。何故なぜ探しするよりは、発想の奇抜さ、作者の本作品を生み出すまでの苦悩、気迫さを楽しもう。図らんや稚拙な主人公の行動や思考にヤレヤレ・ヒヤヒヤと冷めた眼差しを向けてしまうことも多し。多軸の歴史が平行的に営まれ、場合により影響しているという。この発想はパラドックスを解決・凌駕し、本書の成り立ちのベースともなっている。ネポジプフェルが頭脳明晰・アドバイザーとして貢献度抜群。
原書となるH・G・ウェルズの『タイム・マシン(1895)」を読んでいないのは片手落ちで、インスパイヤされてこの小説が書かれたのであるし、タイム・マシンがなければ、タイム・シップも日の目を見ていない。早々にウェルズのタイム・マシンを注文した。

英ガーディアン紙が選ぶ「死ぬまでに読むべき」必読小説1,000冊   SF/ファンタジー:144/1,000作品中

登録情報
文庫: 736ページ
出版社: 早川書房; 新版 (2015/5/22)
言語: 日本語
ISBN-10: 4150120080
ISBN-13: 978-4150120085
発売日: 2015/5/22

内容(「BOOK」データベースより)
1891年、時間航行家は再び未来へ旅立った。タイム・マシンを発明した時間航行家は、最初の時間旅行で出会ったエロイ族のウィーナを救うためマシンを再起動し、西暦80万2701年の未来をめざした。だが、彼がたどり着いたのは高度な知性を有するモーロック族が支配する異なる時間線の未来であった。H・G・ウエルズの名作『タイム・マシン』刊行百周年を記念して書かれ、英米独日四カ国のSF賞を受賞した量子論SFの傑作。英国SF協会賞、フィリップ・K・ディック賞、ジョン・W・キャンベル記念賞、クルト・ラスヴィッツ賞、星雲賞受賞。
著者について
1957年、リバプール生まれ。ケンブリッジ大学で数学の学位を取得後、サウサンプトン大学で工学博士号を取得。学生時代からSFを執筆し、1987年〈インターゾーン〉誌掲載の短篇「ジーリー・フラワー」でデビューした。この短篇に始まる壮大な宇宙年代記〈ジーリー〉シリーズは、長篇第1作『天の筏』(91)、『時間的無限大』(92)、『虚空のリング』(93)などが発表され、新世代のハードSF作家として注目を集めた。バクスターは巨匠アーサー・C・クラークの後継者と目される存在で、長篇『過ぎ去りし日々の光』(00)、『時の眼』(03)に始まる〈タイム・オッデセイ〉三部作をクラークと共作している。本書『タイム・シップ』(95)は、H・G・ウエルズの古典的名作『タイム・マシン』刊行百周年を記念して、ウエルズの遺族の公認を受けて執筆された。
英国SF協会賞、フィリップ・K・ディック賞、ジョン・W・キャンベル記念賞、クルト・ラスヴィッツ賞、星雲賞という英米独日の四カ国のSF賞を受賞した傑作である。







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