大名倒産(上下巻)浅田 次郎(著) 2020
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火曜日

【上巻】とある一室の和泉守(小四郎)と小池越中守(大番頭)。ある事柄の駆け引きの最中。外ではツクツクボウシ(寒?)が忙しい。大番頭の喉まで突き上げた想念。「つくづく欲しい」と。暫し破顔一笑。浅田氏はこんなダジャレも書くのだ。全般に笑いのツボが地雷の如くあちらこちらに埋め込まれていて、決して誰も避けては通れぬ。いいのじゃないか。

【下巻】奇想奇天烈で、支離滅裂までは発散していないけれども、登場人物の全員が善の心を持ち、後味のよい小説といえる。皆が一つの目標に損得・駆け引きなく協力する。このゴールに向けて先導するのが足軽から御殿様になった小四郎なのだが、その魅力とは何か。書くまでもなく一読されれば納得するだろう。リーダーシップ的というより、その人の魅力、オーラではないか。この魅力を育んだのは両親、友に恵まれることが最大の要因ではないか。育児の効能と大切さが身につまされる。

登録情報
単行本: 351ページ
出版社: 文藝春秋 (2019/12/6)
言語: 日本語
ISBN-10: 4163911391
ISBN-13: 978-4163911397
発売日: 2019/12/6
登録情報
単行本: 348ページ
出版社: 文藝春秋 (2019/12/6)
言語: 日本語
ISBN-10: 4163911405
ISBN-13: 978-4163911403
発売日: 2019/12/6

内容紹介
借金の積もり積もること二百年、御家を救う唯一の手立ては計画倒産!?
読めば福がやってくる! 笑いと涙の経済エンターテインメント。

丹生山松平家三万石を襲いだばかりの若き殿様は江戸城で脂汗を垂らしていた。
――御尊家には金がない。
老中からの宣告に慌てて調べてみれば藩の経済事情は火の車であった。
奇跡でも起こらぬ限り返しようもない額の借金に押し潰される寸前の弱小大名家。
父である御隠居はこの苦境を見越して、庶子の四男である小四郎に家督をとらせたのだ。
計画的に「大名倒産」を成した暁に、腹を切らせる役目のために……。

父祖から受け継いだお家を潰すまい、美しき里である領地の民を路頭に迷わせまいと、
江戸とお国を股にかけての小四郎の奮戦が始まる!

だが、大名行列の費用に幕府からの普請費、さらに兄が嫁取りしたいと言い出し、
金は出てゆくばかりで……しかも、お家にとり憑く貧乏神まで現れて!?

親世代の逃げ切りと負債にあえぐ子供世代……と現代にも身につまされるお金をめぐる新旧交代の物語。







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