『ビートルズ世界証言集』マイク・エバンス(著) 2020
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金曜日

原書は、THE BEATLES LITERARY ANTHOLOGY(2006)。

思いつくまま、添削せぬまま書いてみよう。僕はザ・ビートルズのファン歴として長い。40年を超える。本書は、例えば彼らのデビュー前からどんな曲を歌っていて、デビューアルバムは○年で、2ndアルバムは、○年、最後のレコーディングはアビー・ロードだけれども、お蔵入りとなっていたゲッド・バックがレット・イット・ビーとして発売され、これは、フィル・スペクターがリアレンジして、ザ・ロング・アンド・・・・もレット・イット・ビーも女性コーラスやオーケストラで粉飾アレンジしたため、ポールもジョンも怒り心頭だったけれども発売されたし、当初の構想はシンプルで、1stアルバム、プリーズ・プリーズ・ミーと同じEMI本社で同じ場所、構図で下から撮影された写真をジャケットとして使おうとしていて、それは中後期の青盤に見ることができる、とか。この曲♪△△・・・△♪は、どのアルバムに集録されているとか、瞬発に答えられる程度のファンでないと読んでも何を言っているのか、さっぱり判らないと思うし、事実そうだ。ビートルズ入門書では決してないし、段組で600頁近いし、ハードカバーで重いし、素人さんはとびつかないほうが無難だと思う。しかし、僕は食い入るように読めたんだ。おさらいの部分もあったし、忘れていたこと、ああ、そうだったのか、もたくさんあった。それから加味して、60年代、70年代の文化や政治、ベトナム戦争、共産主義などの興味がないと尚更難解と思うかも知れない。追い打ちを掛けるけれど、過去にビートルズを題材にした書籍を読んだことがあるかどうかにも左右される。下段にピックアップしたものは関連書籍の一部で僕が薦めたい書籍だけれども、まずはビートルズ公認のハンター・デヴィスからの入門を勧める。高校三年の時、勉強嫌いの授業つまらなさ故に教科書を立てながら合間合間に本書を隠し読んだ。くだらん授業より比較できぬほど充実した時間だったことか。ここで方向を転換し、ジョン、ポール、ジョージ、リンゴの4人はほんとうにバンドとして鉄壁のうまさとライブ映えする演奏と煽りがあった。ファンが熱狂するカリスマがあった。友情と信頼で結ばれていたし、ジョンがヨーコと出会ってしまったこと、操縦不能状態のアップル社が湯水のようにチャリンチャリンとお金を無駄遣いせず、マネジメントできていれば、ビジネスや人間関係のいざこざがなければ、ビートルズの解散も多少は伸びたかも知れない。しかし、メンバ個々がやりたいことがそれぞれに芽生えてきたこともあったのだから、ぼやいてももやはどうしようもないのだ。ジョンは辛辣だけれどもは独特のシャープさを持っていて、シニカルで、彼の生い立ちにもあるけれども、天才肌。一方、ポールはどちらかと言えばメロディー重視で、彼が築いたロック・ベースはロックバンドに多大な影響を今も引き摺っているではないか。本書は多様な書籍、インタビューから興味深い章が抜粋されていたり、それらを評論家、またはジャーナリストが執筆している。褒めちぎりもあれば、こき下ろしもある。テーマの掘り下げ方が生半可ではなく、当の本人でさえいやはやそこまで深く考えたのだろうか的「歌詞」「行動」「ロックへの影響度」「発言」「仲違い」「エプスタインの死」「ビートルマニア」「ファブフォー/ボーイズ」「宗教」「家族」「下積み」「成功」「ライブ活動の停止」「抑鬱状態」「ドラック/マリファナ、LSD」「ヨーコ」等々を分析している。ささやかに見守ってきたアフターエイジのファンからして「何もわかっちゃないね、この人は・・・」もあったり。一番、信憑性があるのは、身近にいた証言者によるものがましだろう。つくづく感じたのは、ジョンへのインタビューで答えている正直な一面と博学であることと、頭の回転の速さ、キレあるレスポンスは天才といっていい。合いの手をいれるヨーコが何とバカに見えることか。事実、アナーキーだ。そういや、2013年にアップル社があったロンドンはサヴィル・ロウ(写真)、屋上でレット・イット・ビーでギグをした場所でメジャーなファンの聖地となってもいる。そのビルを下から見上げた。僕の中では感動この上がなかったんだ。ビートルズが解散したのは事実として、ポールとジョンが曲を作れば、そうでなくてもどちらかが作りかけて躓いている曲をポールやジョンが助言することで、二人が競い合うことで、地味な曲も魔法にかけられたような楽曲に生まれ変わると思う。すると、別のレノン&マッカートニークレジットの曲が聴けていたのに。とか、とか。夢想してもいいじゃないか。叶わぬ夢となったけれども。サージェントが革命的なコンセプトアルバムと称えられるけれど、今時点の僕のベストはリボルバーじゃないかと。4人は分裂の兆しなく、仲良くスタジオワークに精を出す。細かな記憶は曖昧だけれど、ビートルズが来日して、一悶着会った武道館で演奏したのは1966年の6月下旬~7月上旬。リボルバーのレコーディングはこの前に終わってる。つまり、彼らが気乗りのしないマンネリ化したライヴをやってたときにリボルバーという名盤は産み落とされてたってことだ。スゴイ。

ザ・ビートルズ / リメンバー ―親友クラウス・フォアマンが語る本当のビートルズ:クラウス・フォアマン
ビートルズ・サウンドを創った男―耳こそはすべて:ジョージ マーティン
ビートルズをつくった男―ブライアン・エプスタイン (新潮文庫):レイ コールマン
ビートルズになれなかった男 (光文社文庫):高尾 栄司
ビートルズ:ハンター デヴィス
ビートルズが愛した女―アストリット・Kの存在 (幻冬舎文庫):小松 成美
ジョン・レノンに恋して:シンシア レノン
ザ・ビートルズ・サウンド 最後の真実 ジェフ エメリック,ハワード マッセイ

ビートルズになれなかった男
高尾 栄司
朝日新聞社
ビートルズ その誕生から現在まで
ハンター・デヴィス
草思社
アストリット・キルヒヘア ビートルズが愛した女
小松 成美
角川書店(角川グループパブリッシング)
ジョン・レノンに恋して
シンシア レノン
河出書房新社
ザ・ビートルズ・サウンド 最後の真実
ジェフ・エメリック ハワード・マッセイ
白夜書房

ビートルズ世界証言集 登録情報
単行本: 590ページ
出版社: ポプラ社 (2006/7/1)
言語: 日本語
ISBN-10: 4591093042
ISBN-13: 978-4591093047
発売日: 2006/7/1
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
エバンス,マイク
1960年代には、音楽と詩のユニット「リバプール・シーン」で、詩人、サックス奏者として活躍。1970年代には、ポピュラー・ミュージックのライターとして執筆活動を開始。フリーライターとして、『サウンズ』誌、『クリーム』誌などで執筆し、特に『メロディ・メーカー』誌ではレギュラー・ライターを務めた

斉藤/早苗
ビートルズのメンバーとの親交を深めるなかで長年にわたり日本におけるビートルズ・カルチャーの育成と普及に取り組んでいる。ビートルズ自身の回顧録『ビートルズ・アンソロジー』(リットー・ミュージック)、決定版伝記『シャウト!ザ・ビートルズ』(主婦の友社)の日本語版監修やオノ・ヨーコが提唱する「Dream Powerジョン・レノン スーパー・ライヴ」の総合プロデューサーなど、ビートルズ関連の出版物の執筆・翻訳・監修をはじめ、イベント・プロデュース、講演、ラジオ番組出演など幅広い活動を行なっている。ザ・ビートルズ・クラブ代表も務めている



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