『スパイたちの遺産』ジョン・ル・カレ(著) 2020
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水曜日

原書は、A LEGENCY OF SPIES by John le Carre(2017)

スマイリー三部作を読んで「スパイ達の遺産」を読んだ。正則には、「スパイ達の遺産」を読むためにスマイリー三部作を読んだというのが正しい。本小説では、「寒い国から・・」「ティンカー、・・」を底本にしているので、2作品を読んでいることが望ましい。しかし、なんだろう。「スマイリーと仲間たち」の刊行から38年経て発刊されたこの作品。訳者が違うからか、カレが年老いたからなのか、三部作を読んだ時の文章のキレと研ぎ澄まされた登場人物毎の性格別台詞、喋りすぎない、説明し過ぎない(逆に判りにくさにも起因してくるが)シャープさが三部作に比して本作品には残念ながらない。作家にも脂ののった時期というのがあるもの。カレさん、出版社やファンの期待感、財政面、まだまだやれるぞ作家の気概はあるのだろう。あっていい。でも、スマイリーファンにこの小説は手放しで喜べないのではないか。僕はその一人である。

※スマイリー三部作
 第一弾『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』(1974)
 第二弾『スクールボーイ閣下』)1977)
 第三弾『スマイリーと仲間たち』(1979)
 遡り、『寒い国から帰ってきたスパイ』(1963)

スパイたちの遺産 登録情報
単行本: 335ページ
出版社: 早川書房 (2017/11/21)
言語: 日本語
ISBN-10: 4152097213
ISBN-13: 978-4152097217
発売日: 2017/11/21

容(「BOOK」データベースより)
スマイリーの愛弟子として幾多の諜報戦を戦ってきたピーター・ギラムは、老齢となり、フランスの片田舎で引退生活を送っていた。ある日、彼は英国情報部から呼び出され、警くべきことを知らされる。冷戦のさなか、“ウィンドフォール”作戦の任務についていた英国情報部員アレック・リーマスは、その恋人エリザベスとともに、ベルリンの壁で東ドイツ側に射殺された。そのリーマスの息子とエリザベスの娘が、親の死亡した原因は英国情報部にあるとして訴訟を起こそうとしているというのだ。ギラムとスマイリーの責任も問う構えだという。現情報部は“ウィンドフォール”作戦について調べようとしたが、資料は消えていた。スマイリーの行方も杳として知れない。厳しい追及を受け、ギラムはやむなく隠した資料を引き渡すが…。やがて明かされる衝撃の事実とは?そして、訴訟の行方は?魅惑的な設定で描く『寒い国から帰ってきたスパイ』『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』の続篇!







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