『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』ジョン・ル・カレ(著) 2020
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原書は、Tinker, Tailor, Soldier, Spy, John le Carre(1974)。

ジョン・ル・カレの小説を読むのは『寒い国から帰ってきたスパイ』に続く二作目。本書はジョージ・スマイリー三部作の第一弾で、スパイ小説の金字塔として君臨しているとのこと。話としてはスパイ小説であるから、敵国・仇敵の情報を探るため、情報工作員をリクルートして育て、敵国の諜報活動に勤しむのだが。敵国に自国の情報を与える逆スパイ、ここでは「もぐら」が存在するというのも。事実ある話で、小説・映画には宝石のような素材でもある。前半は、自分の読み位置、今どこで誰の何の話をしているのか、迷ってしまうことがある。文章のキレが良すぎて気を抜くとダメですな。登場人物一覧をもっと網羅性よく充実させてもらったほうがいい。地図もあるといいな。しかし、スパイなんて身の危険を冒し、いつ命絶えるか解らないリスキーな仕事をして何が報われるというのか。情報には軍事情報や開発情報など価値のあるもの、糞の役にも立たないもの、いろいろあるのだろうけれど。命がけで入手したものも上層部の判断で握りつぶされるのもあるだろう。また、愛国心に裏打ちされたスパイ達のおかげで惨事や大戦に至らずに水面下で回避したこともあるだろう。それにしても、スパイといえばあれがいやですね、拷問。拷問に対する訓練・教育もあるそうな。ああ、いやだいやだ、痛いのは勘弁願いたいものですよね。

「スクールボーイ閣下」、「スマイリーと仲間たち」も順追って読むことにした。


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ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫NV) 登録情報
文庫: 549ページ
出版社: 早川書房; 新訳版 (2012/3/31)
言語: 英語, 日本語
ISBN-10: 4150412537
ISBN-13: 978-4150412531
発売日: 2012/3/31
【映画】端折った箇所も多々あるが、大筋原作に忠実
裏切りのサーカス (字幕版)
内容(「BOOK」データベースより)
英国情報部“サーカス”の中枢に潜むソ連の二重スパイを探せ。引退生活から呼び戻された元情報部員スマイリーは、困難な任務を託された。二重スパイはかつての仇敵、ソ連情報部のカーラが操っているという。スマイリーは膨大な記録を調べ、関係者の証言を集めて核心に迫る。やがて明かされる裏切者の正体は?スマイリーとカーラの宿命の対決を描き、スパイ小説の頂点を極めた三部作の第一弾。著者の序文を付した新訳版。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ル・カレ,ジョン
スパイ小説の巨匠。1931年イギリスのドーセット州生まれ。オックスフォード大学卒業後、イートン校で教鞭をとる。その後、英国情報部の一員となり、旧西ドイツのボンにイギリス大使館の二等書記官として赴任、さらにハンブルクで領事を務めた。1961年に『死者にかかってきた電話』で小説家としてデビュー、第三作の『寒い国から帰ってきたスパイ』(1963年)でアメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞最優秀長篇賞と英国推理作家協会(CWA)賞ゴールド・ダガー賞を受賞した



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