『秘蔵カラー写真で味わう60年前の東京・日本』J・ウォーリー・ヒギンズ(著) 2020
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氏の紹介は下段の商品説明に譲るとして、氏が来日した1956年~1964年頃のカラー写真で紹介と解説されている。解説を読み、写真をじっくり眺めてみる。なんとも言えずノスタルジー感が沸々と湧き上がってくる。何故、これらの写真に引き込まれるのだろう。例えば東京の街並み。生活感があり、人間臭さがプンプンしていて、今のコンクリートジャングルとは異次元の世界だ。人々の「生きている」エネルギー熱波も伝搬してくるからだろうか。私は地方で育ったため、東京を知るはずもないのに懐かしさを感じてしまう。「古いものが好き」ではあるが、この感覚がなんとも説明し辛い。

私事ではあるが、東京の街並みとの出会いは1984年~1985年が最初。土日はバイクで、環七、環八、世田谷通り、甲州街道、晴海通り、明治通り等々、道路地図を片手に散策した。既に本書の写真群からは四半世紀が経っており、本書の写真にずばり触れられるところはない。それから更に30数余年の東京はより都会化を遂げると共に、庶民風景は減少の一途、今は僅かに残る下町木造家屋は火災や防災上、規制されつつあるのだ。新宿東口、アルタ横の住友銀行、新宿伊勢丹屋上から見下ろす風景、銀座四丁目、池袋駅、東京タワー、お茶の水、60年前の面影を微かながら引き摺っているところもありホッとしてしまう。変わらないでいて欲しいとの願いがある。江戸から数世紀、そして近代化を掲げた明治・大正を駆け抜け、昭和の高度成長、それに伴うゴミや大気汚染。わずか一世紀ばかりの間に日本は近代化と共に、よき家屋や田園風景を消失してしまった。例えば、今、渋谷で農業を営み水田で稲作をしていたら、米一粒のお値段は、と考えると笑ってしまう。しかし、都会の一角に水田が残っていて、コンクリートVS土の対比がある東京は随分と多様性があるだろうに、と想像している自分もいる。

全国の地方都市も章立てがあり、風景、人、広告、路面電車なども写真満載で、コダックの色褪せない風合いがよい。(私もコダックフィルム派で80年代はコダックしか使っていなかった)前ページカラー写真で、当時は白黒が多い中、カラーが訴える力も侮れない。

秘蔵カラー写真で味わう60年前の東京・日本 (光文社新書) 登録情報
新書: 456ページ
出版社: 光文社 (2018/10/16)
言語: 日本語
ISBN-10: 4334043755
ISBN-13: 978-4334043759
発売日: 2018/10/16
商品の説明
内容紹介
日本をこよなく愛する「撮り鉄」ヒギンズ氏が
カラーでつぶさに記録していた昭和30年代

厳選382枚を一挙公開!


◎内容
ふつうモノクロでしか見ることのできない昭和30年代の日本を、
カラー写真で記録していた人物がいた。
アメリカ出身、日本と日本の鉄道をこよなく愛する元祖「カラー撮り鉄」、
J・ウォーリー・ヒギンズ。駐留米軍軍属として来日後、国鉄の顧問に。
日本全国をくまなく訪問し、趣味の鉄道写真を中心に、
当時としては超贅沢なカラーフィルムで日本の風景を多数撮影してきた。

半世紀以上の歳月を経て、今なお色褪せない最上質のコダクロームの6000枚の中から、
選りすぐりの382枚を、当時の思い出話とともに公開する。
鉄道写真に写り込んだ、生活感あふれる風景ポートレートの数々には、
東京五輪を前に激変する東京の様子や、
今では失われてしまった懐かしい地方の町の風景、人々の様子が記録されている。


◎目次

はじめに――自己紹介

【東京編】
山手線沿線
◇コラム:東京の夜景/コラム:米軍のいる風景
中央線沿線
◇コラム:東京タワー
地下鉄沿線
◇コラム:新幹線のテストラン
私鉄沿線
◇コラム:東京の子どもたち
東京東部・島部
◇コラム:台風一過

【各地方編】
北海道
◇コラム:布団・洗濯物のある風景
東北地方
◇コラム:東日本の子どもたち
北陸地方
◇コラム:漁師たち
関東地方
◇コラム:農作業
中部・東海地方
◇コラム:行楽(レジャー)
近畿地方
◇コラム:電車を飾る「花電車」
中国地方
◇コラム:西日本の子どもたち
四国地方
◇コラム:集合写真
九州地方

【テーマ別写真集】
運ぶ/モノレール/危ない! /SL/働く人たち/
面白い看板/危険な鉄橋/季節の行事

【解説】 佐光紀子


◎著者プロフィール

J・ウォーリー・ヒギンズ

1927年米国ニュージャージー州生まれ。コルゲート大学卒業、ミシガン大学で修士課程修了後、56年に初来日。
58年に本格的に来日以降、日本に在住する。国鉄の顧問を務め、現在はJR東日本国際事業本部顧問。東京都在住。
日本全国をくまなく巡り、当時貴重だったカラーフィルムで鉄道写真を撮り続ける。
2007年度日本写真協会賞特別賞受賞。
著書に『発掘カラー写真 昭和30年代鉄道原風景 路面電車編/東日本私鉄編/西日本私鉄編/国鉄編』
『発掘カラー写真 昭和30年代乗物のある風景 東日本編/西日本編』
『発掘カラー写真 昭和40年代鉄道風景 東日本編/西日本編』(以上、JTBパブリッシング)
など多数。海外の鉄道写真も撮影し、日・米・英などで出版している。
内容(「BOOK」データベースより)
ふつうモノクロでしか見ることのできない昭和30年代の日本を、カラー写真で記録していた人物がいた。アメリカ出身、日本と日本の鉄道をこよなく愛する元祖「カラー撮り鉄」、J・ウォーリー・ヒギンズ。駐留米軍軍属として来日後、国鉄の顧問に。日本全国をくまなく訪問し、趣味の鉄道写真を中心に、当時としては超贅沢なカラーフィルムで日本の風景を多数撮影してきた。半世紀以上の歳月を経て、今なお色褪せない最上質のコダクロームの6000枚の中から、選りすぐりの382枚を、当時の思い出話とともに公開する。鉄道写真に写り込んだ、生活感あふれる風景ポートレートの数々には、東京五輪を前に激変する東京の様子や、今では失われてしまった懐かしい地方の町の風景、人々の様子が記録されている。



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