『最後の晩餐の作り方』ジョン・ランチェスター(著) 2020
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原書は、The Debt to Pleasure, John Lanchester(1996)。

滑り出しは機敏で機知に富み、アップテンポなリズムが心地よい。期待は膨らむばかりだ。しかしながら読み進むにつれ、蘊蓄が鼻につくこと頻繁に、主人公タークウィンの偏執的・倒錯的言動や行動が絶えられなくなってきた。季節毎に章立てがあり、料理の含蓄も「なるほどな」として受け入れられるが、全体としてのバランス感を欠き、終盤に至っては勘弁してくれビームを発射しながら最後まで無理して読んだ。ガーディアン必読も選考基準はあるだろうが、本書もそうだが「何故、選ばれているのか?」と時折疑問に感じることがある。ただ、国民性・文化圏の差異により、感受性や許容性は多種多様でバラエティに富んでいることが選考基準にも反映されているのだろうと思うことにした。

英ガーディアン紙が選ぶ「死ぬまでに読むべき」必読小説1,000冊   コメディ:136/1,000作品中

最後の晩餐の作り方 (新潮文庫) 登録情報
文庫: 331ページ
出版社: 新潮社 (2006/6/1)
言語: 日本語
ISBN-10: 4102160515
ISBN-13: 978-4102160510
発売日: 2006/6/1
内容(「BOOK」データベースより)
博識で多弁で気取り屋、イギリス人でありながら大のフランス好き、独善的でどこかひょうきんな美食家、そして冷酷緻密な人殺し。プロヴァンスを旅行中の彼はある新婚夫婦を執拗に追跡している。何のために?―発表されるや、そのすさまじい博覧強記に絶賛の嵐が吹き荒れた。汁気たっぷりの料理と才気たっぷりの文章の後には、必ず死体が付いてきます。各賞を総なめの問題作。



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