谷崎潤一郎という作家は、猫を題材にした短篇しか読んだことはなかった。日本の文学は奥深い、知らないで過ごしてきた日々だったことか。本書は日記である。カタカナと漢字の併記が多少、読み辛い。氏は享年77歳、息子の嫁に愛情を抱き、M的な行為に耽ってしまう。この当時、昭和36年の時代からすれば彼の家族の生活水準、文化的恩恵は高く、看護に付き添う専属の看護師を住み込ませ、300萬もする宝石を義娘にさらっと買ってあげてしまうところなど。一般庶民は高度成長、働け働け、倍増計画。東京の街は光化学スモッグ、ゴミは夢の島、汚物は東京湾に垂れ流しの時代だった頃でしょう。古き良き東京を知る氏は墓を東京ではなく京都に探し求めるところも東京に哀愁と思い出を保ちつつも見限ったところがあったように感じた。
英ガーディアン紙が選ぶ「死ぬまでに読むべき」必読小説1,000冊 ロマンス:120/1,000作品中
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登録情報
文庫: 258ページ
出版社: 中央公論新社; 改版 (2001/3/25)
言語: 日本語
ISBN-10: 4122038189
ISBN-13: 978-4122038189
発売日: 2001/3/25 |
内容(「BOOK」データベースより)
七十七歳の卯木督助は“スデニ全ク無能力者デハアルガ”、踊り子あがりの美しく驕慢な嫁颯子に魅かれ、変形的間接的な方法で性的快楽を得ようと命を賭ける―妄執とも狂恋とも呼ぶべき老いの身の性と死の対決を、最高の芸術の世界に昇華させた名作。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
谷崎/潤一郎
明治19年(1886)、東京日本橋に生まれる。旧制府立一中、第一高等学校を経て東京帝国大国文科に入学するも、のち中退。明治43年、小山内薫らと第二次「新思潮」を創刊、「刺青」「麒麟」などを発表。「三田文学」誌上で永井荷風に激賞され、文壇的地位を確立した。『痴人の愛』『卍(まんじ)』『春琴抄』『細雪』『少将滋幹の母』『鍵』など、豊麗な官能美と陰翳のある古典美の世界を展開して常に文壇の最高峰を歩みつづけ、昭和40年7月没。この間、『細雪』により毎日出版文化賞及び朝日文化賞を、『瘋癲老人日記』で毎日芸術大賞を、また、昭和24年には、第8回文化勲章を受けた。昭和16年、日本芸術院会員、昭和39年、日本人としてはじめて全米芸術院・アメリカ文学芸術アカデミー名誉会員に選ばれた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) |
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