『生ける屍』ジョイス・キャロル・オーツ(著) 2019
7/18
木曜日

原書は、Zonbic Dullton(1995)。ジョイス・キャロル・オーツは1938年生まれの女性作家。1995年のこの出版は僕と同じ57歳ということになる。余談ですが・・・。ここ最近、読書量が増えています。読書ピッチが上がったのではなく(ゆっくり読みます)、単に読書時間が多く確保できているということです。

なんといいましょうか、主人公クウェンティンのあるまじき思考と行動に飄々と寒々と震えさせてくれます。一風変わったサイコ・サスペンス。昔々、ロボトミー手術(前頭葉を切除する)がある目的のために施術されましたが、なるほど、このように手術の手法もあったのですか。あたしゃ、頭蓋骨をぼっこり開けてするものだと思ってました。本書では全て失敗してしまうのですが。しかし、この作家、三作品目の読了となりましたが、切り口、抽斗がたくさんあります。勉強もするのでしょうが、男の一物も堂々と描写しますし、ちょっと怖くなるほどの作家です。

生ける屍 (扶桑社ミステリー)
ジョイス・キャロル オーツ
扶桑社
売り上げランキング: 446,703
登録情報
文庫: 274ページ
出版社: 扶桑社 (2004/7/1)
言語: 日本語
ISBN-10: 4594047564
ISBN-13: 978-4594047566
発売日: 2004/7/1
出版社からのコメント
ノーベル賞候補作家J・C・オーツによる、サイコ・サスペンスの極北!

 33歳・白人のQ・Pは、少年に対する性犯罪で保護観察の身。しかし、彼には秘密の計画があった。気に入った少年を捕まえて、目から脳へと針をとおして自前のロボトミー手術をほどこし、意志を失った奴隷=「生ける屍(ゾンビ)」を作るのだ!

 傑作ぞろいのジョイス・キャロル・オーツのなかでも、ブラム・ストーカー賞を受賞した本書は、実験性とおそろしさにおいて、抜きんでた1作と言えるでしょう。かのジェフリー・ダーマーをモデルに、殺人者の手記の形でゆがんだ心の奥に迫る、孤高の1冊です。



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