『モロイ』サミュエル・ベケット(著) 2019
6/4
火曜日

原書は、Molloy, Samuel Beckett(1951)。ノーベル文学賞受賞作家(1969)

吃驚仰天小説、どこに辿り着くのか、コールはどこだ? コンセプトすら根底から覆す無秩序で辻褄なんて合わそうとせず、題材として作家の品位を貶めることを承知の上でベケットは執筆しているのだろうか、と心配してしまう。とハチャメチャな泥沼の様相を呈しているのである。しかし、不思議なことに知らぬ間に[ほんわかな殺気]に感化されている。モロイもモランも何がしらかの障害があるが、彼らの視点でみる日常や、健常者が彼らに接する時のモロイ、モランの感じ方というのは新鮮。この衝撃は生半可なく僕には初体験。バカにして読めばそれまで、モロイ、モランに寄り添う気持ちで読めば目から鱗な小説だろう。

英ガーディアン紙が選ぶ「死ぬまでに読むべき」必読小説1,000冊   コメディ:117/1,000作品中

登録情報
単行本: 324ページ
出版社: 河出書房新社 (2019/5/24)
言語: 日本語
ISBN-10: 4309207693
ISBN-13: 978-4309207698
発売日: 2019/5/24

内容紹介
20世紀最大の作家による20世紀文学の到達点。最新の研究成果を反映した新訳がついに登場! フランス語からの個人訳第1弾。

『モロイ』を読む前と読んだあとでは、事情はすっかり変わってしまう。文学をとおして描かれる人生というものが、あっさりぶち壊される。それと同時に、とんでもない何かが立ち上がってくる。――野崎歓(投込栞より)

ベケットの言語に固有の毒性、腐食の作用といったものに私は気付きはじめた。その作用は決して急性の暴力的なものではない。しかし言語の意味や感触、そしてその有機的な構造や流れに、その浸食作用はじわじわ深く及ぶ――宇野邦一(「訳者あとがき」より)

20世紀最大の作家による世界現代文学の到達点。不朽の名作「小説三部作」はここから始まった。最新の研究成果を反映した新訳がついに登場。ベケット没後30年、フランス語からの個人訳第1弾。投込栞寄稿=野崎歓(フランス文学)、松田正隆(劇作家、演出家)







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