『純愛(ウージェニー・グランデ)』バルザック 2019
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日曜日

原書は、Eugénie Grandet(1833年)。日本では江戸期、天保4年、186年前の作品である。

私が古本で入手したのは昭和25年、(株)東京堂、15版、160圓。旧漢字、旧仮名づかいで、ネットで漢字を調べ調べ読み進めた。巻頭の解説表記は昭和16年10月とある。真珠湾攻撃の直前、単冠湾に集結していた頃ではなかろうか。つまり、解説まで編集していたことが印刷直前まで進んでいたと想定しよう。しかし、発売されたのは昭和25年、外国書物、まして「純愛」の書籍名は、同時の風潮としては容認されるものではなかったのではなかろうか。

紙は藁半紙で、活字を組んだ印刷。インクの濃淡のムラがあり、一部はつぶれているような箇所もあり、戦後の復興期の中では紙の調達も印刷職人も印刷技術も覚束なかったのではないだろうか。

この頁をスラスラ読める方は読み慣れたかたでしょう。戦時体験者でしょうか。


吝嗇家のじいさんと娘も知らずのうちに鍛えられじいさんの言いつけを守り、学習し吝嗇家になっていく話。初戀(恋)は成就しないもの。ワシントン・スクウェアが本書をベースにしたと疑われても致し方ないかも知れない。しかし、初めはコツコツ他人の何倍も真面目に働き、貯えが序序に増えるに従い、守銭奴になってしまう。鍵を掛けた部屋でひっそりとひとり金貨をちゃりんちゃりんと数え、何時間も眺めることが最上の快感となっていく。僕も試してみたいものだ。どなたか、何十億円の札束がある部屋に一週間閉じ込めて下さい。人生観が変わるのか、いや変わらないだろうね。冗談はさておき、話はよく練られていると感じるし、ケチと家族愛との反撥と矛盾、当時のフランスの状況と質素な食生活とグランデ家の生活具合がいいですね。

英ガーディアン紙が選ぶ「死ぬまでに読むべき」必読小説1,000冊   家族・私小説:115/1,000作品中


登録情報
-: 336ページ
出版社: 東京堂; 10版 (1949)

新漢字・旧漢字対照表
http://www2.japanriver.or.jp/search_kasen/search_help/refer_kanji.htm

(一部)
體 (体)
臺 (台)
單 (単)
盡くして(尽くして)
屹度(きっと)
恰も(あたかも)
慥かな(確かな)
點 (点)
約める(つづめる)
吝嗇(りんしょく)ケチなこと






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