『グラン・モーヌ』アラン=フルニエ(著) 2019
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水曜日

原書は、Le Grand Meaulnes, Henri Alain-Fournier(1913)。

十数万語の活字を原っぱにぶちまけた。端から丁寧に歩を進めた。濡れた「涙」も、輝く「感」も、尖った「怒」の活字も見つけられぬままに通り抜けてしまった。おや、何かを見落としたのかも知れない。いやいや、どうなのでしょう。もっと起伏のある山野に活字をばらまけばよかったのかもしれない。原っぱを通り抜けた時、何の記憶の欠片も心情の揺らぎもないままに時だけが流れていた。活字を一字たりとも粗末に疎かにせずにいたのに。こんなこともあるでしょう。全ての本が骨身に染みるなんてことはあり得ないのだから。


 (ガーディアン必読1000冊:ロマンス 109作品読了/1,000冊)

登録情報
文庫: 423ページ
出版社: 岩波書店 (1998/12/16)
言語: 日本語
ISBN-10: 4003750128
ISBN-13: 978-4003750124
発売日: 1998/12/16
内容紹介
冬のある日曜の暮れ方,15才の私の前に現われた背の高い少年.やがて皆からグラン・モーヌと呼ばれるようになった彼は,偶然にたどりついた不思議な屋敷で美しい令嬢イヴォンヌと運命の出会いを果たすが,それは長い探索の旅の始まりでもあった.刊行以来広く愛され続けてきたアラン=フルニエ(1886-1914)の青春小説



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