『ハンニバル(上下巻)』トマス・ハリス(著)
2019
3/14
曜日

本書は、HANNIVAL(1999)。
上巻:ハンニバル、レクター博士が前三作品に比して、知恵袋から、実体の伴う実像人物として、昇進し脅威を奮う。博学で音楽・料理・神学、医学も極めているのに、何故に人間を切り刻み、人食するのが嬉しいのか、抑えられないのか、彼の生い立ちに何が作用していたのか。100頁、下巻を読んでしまったのだが、そこに納得感が持てたのなら合格点、そうじゃなきゃどうしよう。レクターは怪物なのに憎みきれない感情が僕の中にも幾分あり、このモヤモヤ感はどこからくるのかしらん。

下巻:レクター博士がクラリスを抱き上げ、闇夜に消えていく、ここで余韻を残して本書を閉じる。僕はここで終わってほしかった。次作、恋うご期待として。上巻でハンニバルの人格・行動形成に至った原因について究明したかったことの答えはあった。メイスンがあのようにされたことも納得感を持てた。凜として事件を果敢に攻めるクラリスに誰しもが好感を抱いたであろうが、最後はレクター博士に骨抜きにされてしまう、あのエンディングは如何なものか、ここは不満な点である。

登録情報
文庫: 368ページ
出版社: 新潮社 (2000/4/12)
言語: 日本語
ISBN-10: 410216703X
ISBN-13: 978-4102167038
発売日: 2000/4/12
登録情報
文庫: 466ページ
出版社: 新潮社 (2000/4/12)
言語: 日本語
ISBN-10: 4102167048
ISBN-13: 978-4102167045
発売日: 2000/4/12

内容紹介
上巻:あの血みどろの逃亡劇から7年――。FBI特別捜査官となったクラリスは、麻薬組織との銃撃戦をめぐって司法省やマスコミから糾弾され、窮地に立たされる。そこに届いた藤色の封筒。しなやかな手書きの文字は、追伸にこう記していた。「いまも羊たちの悲鳴が聞こえるかどうか、それを教えたまえ」……。だが、欧州で安穏な生活を送るこの差出人には、仮借なき復讐の策謀が迫っていた。

下巻:レクター博士はアメリカに帰還する。執念を燃やす復讐鬼は、クラリスを囮に使って博士をおびき出す計画を整えつつあった。その先には、究極の美食家に対する究極の屈辱となる報復が用意されている。かくして、 “怪物と天使"の運命は凄絶に交錯するときを迎えた……。スティーヴン・キングをして「前作を凌ぎ、『エクソシスト』と並んで20世紀に屹立する傑作」と言わしめた問題作、登場。







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