『半身』サラ・ウォーターズ(著) 2019
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原書はAFFINITY(1999)。サラ・ウォーターズの作品は、「荊の城」「エアーズ家の没落」に続く三作目。彼女の31歳の作品。この若さにてこの質の高さ。サラ・ウォーターズは模倣の追従を許さない独特の世界観がある。摩訶不思議・奇想天外といえばよいか。日常に潜むさり気ない当たり障りのないウィルスが、徐々に腫れ物となって増殖していくというか。病原菌ではなく心を蝕んでいくのだ。現代(1999年出版)作品であるが19世紀に執筆したかの錯覚に陥る。時は1872年~1876年、馬車も御者もいる風景、身分の高い女性は貴婦人ともて囃された時代。日常の風景や部屋の調度品までリアリティーに著している。監獄描写が絶品。ストーリーはばらせないがこうきたか、あっぱれ。一読推奨。

英ガーディアン紙が選ぶ「死ぬまでに読むべき」必読小説1,000冊>SF/ファンタジー:105/1,000

登録情報
文庫: 494ページ
出版社: 東京創元社 (2003/5/24)
言語: 日本語
ISBN-10: 4488254020
ISBN-13: 978-4488254025
発売日: 2003/5/24

内容紹介
【サマセット・モーム賞受賞】
1874年の秋、監獄を訪れたわたしは、不思議な女囚と出逢った。ただならぬ静寂をまとったその娘は……霊媒。戸惑うわたしの前に、やがて、秘めやかに謎が零れ落ちてくる。魔術的な筆さばきの物語が到達する、青天の霹靂のごとき結末。魔物のように妖しい魅力に富む、ミステリの絶品!

*第1位「週刊文春」2003年傑作ミステリーベスト10/海外部門
*第1位「このミステリーがすごい! 2004年版」海外編ベスト10
*第3位『IN★POCKET』文庫翻訳ミステリーベスト10/総合部門・評論家部門内容紹介






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