『黄金の街 (上下巻)』リチャード・プライス(著) 2019
1/15
水曜日

原書は、Lush Life, Richard Price(2003)。
上巻:舞台はロウアー・イースト・サイド、移民や特にユダヤ系、ヨーロッパ、中国系も多く労働者階級も棲みついた街で、夜はコワイコワイ、一人で歩けない街だったらしい。登場する刑事たちも日常会話でここまでウィットに富んだ言葉が出てくるかと思いつつも、リズムとテンポがある。いいのじゃないか。下巻、結末に向けて話は加速するのだろうか。

下巻:仮に元家族があったとして、故意に手放した、もしくは紛失したとししよう。その元家族(元妻、子供)と向き合うことは簡単な人もあれば困難と思う人もあろう。そもそも途絶、音信不通ってこともある。登場人物のバックヤードとしてこれらが各自の思考・行動に影響を与える。犯人・被疑者・協力する人、元家族も含め相手に誠意をもって繰り返し対峙することで相手の肩の力が抜け、警戒心が溶かし正直な面を引き出すことができる人もいるだろう。「懸命さ」は相手を徐々に凝固体から溶解体に変化させると信じている。本書の言いたかったことは、真っ向から向き合うこと、諦めないことの大事さではないだろうか。今一度、振り返り誠意を示そう、ってことかと。

英ガーディアン紙が選ぶ「死ぬまでに読むべき」必読小説1000冊>犯罪系:99/1,000

登録情報
文庫: 464ページ
出版社: 講談社 (2013/4/12)
言語: 日本語
ISBN-10: 4062775131
ISBN-13: 978-4062775137
発売日: 2013/4/12
登録情報
文庫: 416ページ
出版社: 講談社 (2013/4/12)
言語: 日本語
ISBN-10: 406277514X
ISBN-13: 978-4062775144
発売日: 2013/4/12

上巻内容(「BOOK」データベースより)
上巻
ニューヨーク、ロウアー・イースト・サイド―かつて黄金の未来を夢見た移民たちが最初に住み着いた街。さまざまな人種の人々が暮らすこの街に、カフェ・バークマンはあった。雇われたばかりの若いバーテンダーが路上で射殺され、犯行時に一緒にいたマネージャーのエリックが警察に連行されるが―。

下巻
カフェ・バークマンに勤めながら脚本を書いているユダヤ人のエリック。継父と団地に住むヒスパニックの少年トリスタン。妻と別れ息子たちをもてあますアイルランド系の刑事マッティ。一人の青年の死が人々の哀しみに光を当て、それぞれの人生を静かにつないでいく。米読書界絶賛の傑作長編。






Copyright (C) 2019 Shougo Iwasa. All Rights Reserved.