『スクープ』イーヴリン・ウォー(著) 2018
11/9
金曜日

本書は、Scoop, Evelyn Waugh(1938)。本書は「現代の古典」として不動の地位を固めているらしい。1930年代の英国の威厳、ファシストの横行、内乱・政変を背景に、新聞記者がスクープを狙うための、当時の模様がよくわかる。本社との情報伝達は無線・打電で、文字数を節約しながら四苦八苦したのだろう。当時は取材先までの旅行が大変、簡単に着かない。取材もなんとなく曖昧。しかし、独占的スクープをものにした記者は一躍、時の人たる有名人。新聞社も手のひらを返したように扱おうとする。そんな中、主人公ウィリアムの奢ることなく自然体の身の捌き方が潔い。あちらこちらと笑いの地雷も埋めてある。いいでしょう。

 (ガーディアン必読1000冊:コメディ 87作品読了/1,000)

登録情報
単行本: 290ページ
出版社: 白水社 (2015/5/19)
言語: 日本語
ISBN-10: 4560099073
ISBN-13: 978-4560099070
発売日: 2015/5/19

出版社からのコメント
初期傑作長篇、待望の本邦初訳!
 英国の巨匠ウォーは、代表作『黒いいたずら』、『ピンフォールドの試練』(以上、白水社)をはじめ、ベストセラーとなった『ブライヅヘッドふたたび』など、依然として高い人気を誇る。本書は、アフリカの架空の国の政変と報道合戦の狂奔を、辛辣な諷刺とユーモアたっぷりに描く、初期傑作長篇。本邦初訳。
 新聞で「田園便り」を担当する独身男ウィリアムは、手違いから、突如外国特派員に任命される。派遣されたのは、政変が噂されるアフリカの独裁国家。怪しいスパイや政商が暗躍し、ライバル記者たちが報道合戦を繰り広げるなか、ウィリアムは人生初の恋に落ち、思いがけずスクープをものにするのだが……。
 ウォーは新聞記者としてアフリカに派遣され、実際に報道合戦を体験しており、本書を「ジャーナリズムに対する軽い諷刺」と述べている。一九三八年に発表され、今なお「現代の古典」として不動の地位を占めている作品だ。二〇〇三年、『ガーディアン』紙上で「古今の名作小説一〇〇」に選出され、二〇一四年、『テレグラフ』紙上でも「絶対必読の小説一〇〇」に選出されている。







Copyright (C) 2018 Shougo Iwasa. All Rights Reserved.