『室温』ニコルソン・ベイカー(著) 2018
11/5
月曜日

原書は、Room Temperature, Nicholson Baker(1990)。小説の中の話で言えば、この夫婦は互いを労り、思いやりのあるすばらしい夫婦であって、そのような愛情の元で育つ子供も十中八九、スクスク育つことを約束されたようなもの。両親もよろしい。たった20分の時間が中編小説になってしまう(してしまった)。話題を掘り下げ発展させ転換すればいいのである。しかしドリリングしていく鋭さ、深さ、正確さというのは常人では間が持たないのではなかろうか。観察すること、すなわち興味があり「何故なぜ、何でそうなるの?」をループできること、また記憶力がずば抜けていること、この主人公のように。科学者向きであろうが、本書の主人公は育児に寄与するため、週に二日しか働いていないのである。それもありかな。処女作となる「中二階」も機会があれば。

 (ガーディアン必読1000冊:家族・私小説 85作品読了/1,000)

登録情報
単行本: 193ページ
出版社: 白水社 (2000/07)
言語: 日本語
ISBN-10: 4560046948
ISBN-13: 978-4560046944
発売日: 2000/07

内容(「BOOK」データベースより)
赤ん坊にミルクをやる二十分のあいだに、ひとりの男の脳裏に去来するさまざまな事柄を、顕微鏡的細かさと止めどない連想力で描いた小さな傑作。すこぶる斬新で、とてつもなく風変わりな小説。







Copyright (C) 2018 Shougo Iwasa. All Rights Reserved.