『監禁面接』ピエール・ルメートル(著) 2018
9/4
火曜日

ルメートルの新訳、かなりの期待感を持っていた。過去読んだ「天国でまた会おう」「悲しみのイレーヌ」「その女アレックス」「死のドレスを花婿に」「傷だらけのカミーユ」の一連の彼の作品には引き込まれたからだ。ここにきて本書Cadres roirs(2010)だけが未訳で前後作品が翻訳・出版されたかが解ろうというもの。まあ、体良く言えば作品の質としては二流だ。失業者アランの思考・行動にまったく同感できない異星人を観るような異次元さがあり、妻と娘弁護士と元同僚シャルルだけがまともだ、というだけ。そして大事な家族や友を失ってしまってもまだそのことに気付かないようなバカが主人公である。だから、長文に付き合わせておいて、肩すかしを食らったようなもの。本書はあのルメートルが書いたのかと正直感じる。時には作家も駄作を生み出すものなのだろう。

監禁面接
ピエール ルメートル Pierre Lemaitre
4163908927
登録情報
単行本: 462ページ
出版社: 文藝春秋 (2018/8/30)
言語: 日本語
ISBN-10: 4163908927
ISBN-13: 978-4163908922
発売日: 2018/8/30

内容(「BOOK」データベースより)
重役たちを襲撃、監禁、尋問せよ。どんづまり人生の一発逆転にかける失業者アラン、57歳。企業の人事部長だったアラン、57歳。リストラで職を追われ、失業4年目。再就職のエントリーをくりかえすも年齢がネックとなり、今はアルバイトで糊口をしのいでいた。だが遂に朗報が届いた。一流企業の最終試験に残ったというのだ。だが人材派遣会社の社長じきじきに告げられた最終試験の内容は異様なものだった。―就職先企業の重役会議を襲撃し、重役たちを監禁、尋問せよ。重役たちの危機管理能力と、採用候補者の力量の双方を同時に査定するというのだ。遂にバイトも失ったアランは試験に臨むことを決め、企業人としての経験と、人生どんづまりの仲間たちの協力も得て、就職先企業の徹底調査を開始した。そしてその日がやってきた。テロリストを演じる役者たちと他の就職希望者とともに、アランは重役室を襲撃する!だが、ここまでで物語はまだ3分の1。ぶっとんだアイデア、次々に発生する予想外のイベント。「そのまえ」「そのとき」「そのあと」の三部構成に読者は翻弄される。残酷描写を封印したルメートルが知的たくらみとブラックな世界観で贈るノンストップ再就職サスペンス!






Copyright (C) 2018 Shougo Iwasa. All Rights Reserved.