『サンキュー、ジーヴス』P.G. ウッドハウス(著) 2018
8/18
土曜日

原書はThank You Jeeves, PG Wodehous(1934)。短篇集のシーバス事件簿(才智縦横の巻、大胆不敵の巻)でも主軸となるバーティーと従僕ジーヴスが登場する、作家はじめての長編小説ということだ。脱稿1932(昭和7年)、出版1934(昭和9年)。英帝国の貴族階級も領地からの収入減、屋敷の維持費用の圧迫から「片手うちわ」から「生きにくい時代」へと転換してゆきつつある時期だったのじゃないか。短篇から本書を読むと訳者が違うこともあるが、僅差な違和感、硬質的と感じるかもしれない。しかし、短篇と長編の著者自身もアプローチは違えているだろうし、文字数制限も撤廃され、単語、格言、比喩も短篇よりほぼ無制限に使えるという理由もあるだろう。ラヴストーリーともいえるがドタバタハチャメチャ劇で、脚色僅かで舞台でも本書がコメディー路線で通用すると僕は思う。他、ウッドハウスの長編3作読む予定。

 (ガーディアン必読1000冊:コメディー 75作品読了/1,000)

サンキュー、ジーヴス (ウッドハウス・コレクション)
P.G. ウッドハウス Pelham Grenville Wodehouse
433604774X
登録情報
単行本: 362ページ
出版社: 国書刊行会 (2006/12/1)
ISBN-10: 433604774X
ISBN-13: 978-4336047748
発売日: 2006/12/1

内容(「BOOK」データベースより)
バンジョレレを習い始めたバーティーはご近所から苦情を浴びせられ、田舎のコテージで練習を再開。だがジーヴスにも辞められて新たな執事を雇い入れるが…シリーズ第6弾。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ウッドハウス,P.G.
1881年イギリスに生まれる。1902年の処女作『賞金ハンター』以後、数多くの長篇・短篇ユーモア小説を発表して、幅広い読者に愛読された。第二次世界大戦後、米国に定住し、1955年に帰化。1975年、サーの称号を受け、同年死去した






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