『わたしは英国王に給仕した』ボフミル・フラバル(著) 2018
7/28
土曜日

原書は、1971年作品。時代はナチスが台頭してきた1930年代から、ドイツの統治国になった頃前後チェコ人作家の小説。語り手の「私」は給士見習いから成り上がっていくのだが。『これからする話を聞いてほしいんだ。』と始まる各五章立て。「私」はチェコ人の目線であったり、ドイツ人目線であったり。「人生の本質とは、死が訪れた時にどう振る舞うかという死への問いかけそのものだ・・』と文中にあるが、老衰・病死ではなく身近に死が日常化した時でもあったわけで、コメディーなタッチもありながらシリアスな語りも侮れない。奉仕活動で刑を購うが、動物たちとの関わり合い方がホノボノで心がほっとする。

(ガーディアン必読1000冊:コメディ 72作品読了/1,000)

わたしは英国王に給仕した (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)
ボフミル・フラバル 阿部 賢一
4309709656
登録情報
単行本: 261ページ
出版社: 河出書房新社 (2010/10/9)
言語: 日本語
ISBN-10: 4309709656
ISBN-13: 978-4309709659
発売日: 2010/10/9
内容(「BOOK」データベースより)
いつか百万長者になることを夢見て、ホテルの給仕見習いとなったチェコ人の若者。まず支配人に言われたことは、「おまえはここで、何も見ないし、何も耳にしない。しかし同時に、すべてを見て、すべてに耳を傾けなければならない」。この教えを守って、若者は給仕見習いから一人前の給仕人となり、富豪たちが集う高級ホテルを転々としつつ、夢に向かって突き進む。そしてついには、ナチスによって同国の人々が処刑されていくのを横目で見ながらドイツ人の女性と結婚。ナチスの施設で給仕をつとめ、妻がユダヤ人から奪った高額な切手で大金を手に入れる―中欧を代表する作家が、18日間で一気に書き上げたという、エロティックでユーモラス、シュールでグロテスク、ほとんどほら話のような奇想天外なエピソード満載の大傑作。映画『英国給仕人に乾杯!』原作。



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