原書は、To the Lighthouse(1927)。ウルフは「ダロウェイ夫人」に続く二作品目として読んだ。ふわっとした印象でいうと、泡手で風船を片手で掴むようなもの。掴めそうで掴めない。ストーリーがカチカチっと進展する文体ではない。日々の日常の登場人物の内面、感情の揺れを描いている。「言葉」の選び方は才能豊かではなかろうか。しかし、本書に没頭していく夢中感・高揚感は感じ得ない。第一部「窓」、第二部「時はゆく」、第三部「灯台」と三部構成となっている。個人的には「時はゆく」が感傷的で心襞の抉り方が鋭利で、単語にも文体にも表現されて好きだ。
〔登場人物〕
ラムジー夫人:50歳、夫との間に8人の子供がいる。
ラムジー氏:哲学者、60歳過ぎ。
ジェイムズ:息子、6歳、末っ子。無慈悲王。
キャム:末娘、7歳。意地悪女王。
ナンシー:娘。
アンドリュー:息子。正義王。
プルー:娘。優雅女王。
ローズ:娘。
ジャスパー:息子。
ヴェスヴィオ:子供。
リリー・ブリスコウ:客、女性の画家。33、4歳。
チャールズ・タンズリー:客、無神論者。
ウィリアム・バンクス:客、独身の植物学者、ラムジー氏の旧友。
オーガスタ・カーマイケル:客、詩人、「不幸な結婚」をした。
ミンタ・ドイル
ポール・レイリー:ミンタに結婚を申し込む。
マリー:スイス人の小間使い。
マグナブ婆さん:留守番役。
マカリスター 漁師・老人
マカリスターの息子
ソーリー:灯台守。
灯台守の息子:結核性関節炎。
ミルトレッド:家政婦
出典:http://blog.livedoor.jp/niryu_nikki/archives/33098710.html
[スカイ島]スコットランドのインナー・ヘブリディーズ諸島の最も北方に位置する最大の島
出典:https://talisker-online.jp/life_with_talisker/isleofskye_trip01/
※英ガーディアン紙が選ぶ「死ぬまでに読むべき」必読小説1000冊:家族・私小説(64作品読了/1,000作品中)
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