『ダロウェイ夫人』ヴァージニア・ウルフ(著) 2018
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土曜日

原書は、Mrs. Dalloway(1925年)。

心に浮かぶ考えや想いは誰にも邪魔されない領域だろう。思っても口に出さない思慮深さは大概の人は持ち得るが、頭の中の空間は自由闊達であって、肯定も否定もされないししようがない、つまり安全地帯だ。(だから何を夢想・空想・想像してもよいとして)意識下の意識ではなく意識上の意識がふわっと湧き出るニュアンスが全編を蹂躙している。日常会話で相手の一言が感情が逆転してしまうことはしばしばあるものだし、揺れ動き、何かの弾み・言葉で元の正常値にリセットされることもこれまた多い。本書、文章は数センテンスでも人の入れ替わりが頻繁で、時間軸も現在⇔過去へ話がスイッチするケースも多々あり。準主役級のピーターが144頁で心の内を暴露していることが僕の考えに非常に近しい。

彼女は定期的周期で躁鬱が入れ替わっていたことから、双極性障害だったと仮定するなら、軽躁時のすべてが新鮮に目に映り、アイデアが湯水のように湧いては話題がころころ切り替わることが本文でも充分窺えるし、自殺未遂、終局は命を絶ってしまうのだが、生きることに悶え苦しんだだろことが、僕には異常ではなく、普通に共感できることでもある。


 (ガーディアン必読1000冊:家族・私小説 63作品読了/1,000)

ダロウェイ夫人 (集英社文庫)
ヴァージニア ウルフ Virginia Woolf

4087605353

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登録情報
文庫: 413ページ
出版社: 集英社 (2007/8/1)
言語: 日本語
ISBN-10: 4087605353
ISBN-13: 978-4087605358
発売日: 2007/8/1
内容(「BOOK」データベースより)
1923年、6月のある水曜日。第一次世界大戦の影響が残るロンドンでクラリッサ・ダロウェイは、自宅で開くパーティのため、花を買いに街に出る。瑞々しい生命力に溢れるロンドンを歩きながら、ダロウェイ夫人の意識は青春時代と現在を自在に行き来し、心に無数に降りそそぐ印象を記す。あらゆる過去の一日が充満した一日を「意識の流れ」の手法で、生、死、「時」を描いたモダニズム小説の代表作。




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