『一九八四年』ジョージ・オーウェル(著) 2018
1/23
火曜日

原書は、NINETEEN EIGHTY-FOUR(1948)。脱稿した年だったか、末2桁を逆にして題名を1984にしたらしい。「動物農場」が寓話を下地にしていたのに対し、「一九八四年」はSF、近未来の世界となっている。SF慣れした諸氏には読みやすいのではないか。荒廃した抑圧社会、飢餓、不味い食事、隣組的組織的監視体制、弾圧、拷問、思想統制、独裁政治は共通項として扱われた小説も多い。オーウェルは作家として文章が際立っていて上手い。二重思考(Double Think)というキーワードが本書に再々登る。相矛盾する二つのことが整合性を保てるような思考といえばいいか。相反することが整合性を保てるのか?その矛盾は偶然でも偽善でもなく、計画的であるという。『過去は改変可能である』⇔『過去が改変されたことはない』ふむ・・何を況んや、は本書を読む人のみに判る特権だ。過去の記録を修正する、抹消することで、党に都合のよいことだけを記録する。そして人間の記憶は書き物に記憶されていないものは薄れていくということ。これは動物農場にも頻発する。一番安全な隠し場所は頭の中なのだが・・・ その危うさも本書の中にヒントがある。

 (ガーディアン必読1000冊:SF/ファンタジー:47作品読了/1,000)


一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)
ジョージ・オーウェル 高橋和久

4151200533

関連商品
動物農場〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)
アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))
動物農場 (角川文庫)
1984年 (まんがで読破 MD100)
すばらしい新世界 (光文社古典新訳文庫)
すばらしい新世界〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)
華氏451度〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)
すばらしい新世界 (講談社文庫)
パリ・ロンドン放浪記 (岩波文庫)
動物農場―おとぎばなし (岩波文庫)
by G-Tools
登録情報
ペーパーバック: 512ページ
出版社: 早川書房; 新訳版 (2009/7/18)
言語: 日本語
ISBN-10: 4151200533
ISBN-13: 978-4151200533
発売日: 2009/7/18

内容(「BOOK」データベースより)
“ビッグ・ブラザー”率いる党が支配する全体主義的近未来。ウィンストン・スミスは真理省記録局に勤務する党員で、歴史の改竄が仕事だった。彼は、完璧な屈従を強いる体制に以前より不満を抱いていた。ある時、奔放な美女ジュリアと恋に落ちたことを契機に、彼は伝説的な裏切り者が組織したと噂される反政府地下活動に惹かれるようになるが…。二十世紀世界文学の最高傑作が新訳版で登場。

著者について
1903年、英国領インド・ベンガル地方に生まれる。文学のみならず、二十世紀の思想、政治に多大なる影響を与えた小説家。名門パブリック・スクールであるイートン校で学び、その後、数年間ビルマの警察に勤務。やがて職を辞し帰国すると、数年間の放浪を経て、作家となった。主な著作に長篇小説『動物農場』やスペイン内戦に参加した体験を綴ったルポルタージュ『カタロニア讃歌』などがある。
1950年没。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
オーウェル,ジョージ
1903年、英国領インドのベンガルに生まれる。文学のみならず、二十世紀の思想、政治に多大なる影響を与えた小説家。名門パブリック・スクールであるイートン校で学び、その後、数年間ビルマの警察に勤務。やがて職を辞し帰国すると、数年間の放浪を経て、作家となった。主な著作に長篇小説『動物農場』などがある。1950年没





Copyright (C) 2018 Shougo Iwasa. All Rights Reserved.