原書はNice Work, David Lodge(1999)。英国はサッチャー政権の80年代、大学講師と鋳物会社の雇われ社長を中心に日常が交差していく。機微がテンポがあって、立場の違い、生い立ちの違い、学歴の違い、抱えている状況の違いが会話にリズムを生む。それにも増して男女の違いがあらぬ方向とはいわないが、なるべくにしてなった結果をもたらす。性差といえば、本書のようなケースではコトが起きてしまった(進んでしまった)後の立ち振る舞いにあからさまな男女の違いも出ようというもの。サッチャー首相の経済立て直しの余波ともいえるが、80年代という香りがふんだん。小説としてはロッジという作家、観察眼以上の経験眼があるのか、なかなかすぐれものだ。ロビンの最後の決断がどうなっていくのか、僕の心は揺れ動く。
ガーディアン必読1000冊:コメディ 78読了/1000
素敵な仕事 デイヴィッド・ロッジ David Lodge
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登録情報
単行本: 316ページ
出版社: 大和書房 (1991/10)
言語: 日本語
ISBN-10: 4479570055
ISBN-13: 978-4479570059
発売日: 1991/10 |
内容(「BOOK」データベースより)
仕事ひと筋の鋳物会社社長と美人で記号論的唯物論者の大学講師が繰りひろげる奇想天外で素敵な小説。 |
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