原書はROSEANNA(1965)、このコンビは上手ですね。刑事小説第四作から本書第一作と読んだ。最後まで読み手に緊張感を強いるストーリーテラーは異彩を放つ。やはりですね、これは第二作~最終の十作まで読んでしまうのでしょうね。さて、登場する刑事個々のキャラが引き立っていて、その役割を見事に裏切ることなくこなす。主人公、マルティン・ベックも犯罪捜査には卓越していても、私生活含めて全て調和がとれている訳ではない。完璧はいけない。弱さもあるということ、大事だ。そして24時間、事件を解決するために、ひたすら考え、捜査調書を何度も何度も読み返す。これらが魅力。マイケル・コナリーのハリー・ボッシュと共通項だ。実直で誠実さに読者は惹かれてしまう。
内容(「BOOK」データベースより) ボーレンスフルトの閘門で、全裸女性の絞殺死体が見つかった。身元不明の遺体には誰からの問い合わせもなく、事件は膠着状態に陥ったかに見えた時、アメリカの警察から一通の電報が届いた。「ソレハコッチノサガシテイルオンナダ」。ロセアンナ・マッグロー、27歳。この知らせをきっかけに、刑事マルティン・ベックは、ロセアンナと関係をもった男達についての証言を探ってゆくが―。警察小説の金字塔シリーズ・第一作。