『異邦人』 カミュ(著) 2017
11/20
月曜日

原書はL'ETRANGER(1942)、以降、ノーベル文学賞受賞(1957)したカミュを一躍著名人にした作品。僕はこの主人公に共感するところ大であったし、至極真っ当な思考ではないか、と思い詰めるように本書を読んだ。「興味のあるものには確信がないが、何に興味がないかという点については充分に確信がある」いいね。神を信じ得ないことを貫き通す信条にはストレートで一直線さも僕は好感をもったのだった。何が善で何がそうでないか。そうしなきゃならない基準はどこからやってくるのか? 終盤のムルソーの心の葛藤には拍手を送りたい。最初は軽めな小説ではと気楽に流していたが最後には心を抉られる強烈なインパクトにノックアウトされたのだった。

※英ガーディアン紙が選ぶ「死ぬまでに読むべき」必読小説1000冊:家族・私小説(35作品読了/1000)

異邦人 (新潮文庫)
カミュ 窪田 啓作
4102114017
登録情報
ペーパーバック: 143ページ
出版社: 新潮社; 改版 (1963/7/2)
言語: 日本語
ISBN-10: 4102114017
ISBN-13: 978-4102114018
発売日: 1963/7/2

内容紹介
母の死の翌日海水浴に行き、女と関係を結び、映画をみて笑いころげ、友人の女出入りに関係して人を殺害し、動機について「太陽のせい」と答える。判決は死刑であったが、自分は幸福であると確信し、処刑の日に大勢の見物人が憎悪の叫びをあげて迎えてくれることだけを望む。通常の論理的な一貫性が失われている男ムルソーを主人公に、理性や人間性の不合理を追求したカミュの代表作。






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