『アンナ・カレーニナ(上中下巻)』トルストイ(著) 2017
9/29
金曜日

【上巻】
「・・あるひとりの人間の活動がつねに目的をもっていることを、愛情と家庭生活とはつねに一体であることを希望しているんだが、そんなわけにはいかないのさ。この人生の変化も、魅力も、美しさも、どれもこれもみんな、光と影からできているものなんだからね」オブロンスキーに、革新的なことを言わせてますね、トルストイさん。
【中巻】
トルストイは彼の最高傑作と言われる本作を1870年代に執筆した。足掛け5年を要したそうである。日本では明治初期、維新ドタバタの時代だった。ストーリーでいえば、僕はアンナに全く気持ちが入らず、ただのバカ女にしか見えない。でも時代が時代か、ハプニングがあるから小説になるわけでして・・ 深く突っ込まないのが大人というものでしょうか。
【下巻】
書名にあるアンナ・カレーニナが主人公というわけじゃない。中巻でも触れたが、アンナにはまったく最期まで魅力を感じ得ることがなかった。『認知の歪みの定義』でいうところの「全か無か」「一般化のしすぎ」「心のフィルター」「マイナス化思考」「結論の飛躍」「感情的決め付け」「すべき思考」「レッテル貼り」と盛り沢山だ。話の話題としては、政治、官僚社会、演劇、戦争、農業経営、舞踊会、討論、医療、食事、上流社会、農民の暮らし、交通(馬・汽車)、等々、こちらも花盛り。登場人物も多い。まあ、都度都度、考えがコロコロ変転して一貫性のある人は少ないのだ。最後にリョービンとキチイの光射す未来を覗き見たくなる思い事に救われる。

アンナ・カレーニナ〈上〉 (新潮文庫)
トルストイ 木村 浩
4102060014
登録情報
文庫: 580ページ
出版社: 新潮社; 改版 (1998/03)
言語: 日本語
ISBN-10: 4102060014
ISBN-13: 978-4102060018
発売日: 1998/03
アンナ・カレーニナ〈中〉 (新潮文庫)
トルストイ 木村 浩
4102060022
 登録情報
文庫: 759ページ
出版社: 新潮社; 改版 (1998/03)
言語: 日本語
ISBN-10: 4102060022
ISBN-13: 978-4102060025
発売日: 1998/03
アンナ・カレーニナ〈下〉 (新潮文庫)
トルストイ 木村 浩
4102060030
 登録情報
文庫: 684ページ
出版社: 新潮社; 改版 (1998/03)
言語: 日本語
ISBN-10: 4102060030
ISBN-13: 978-4102060032
発売日: 1998/03
内容紹介
<上>
モスクワ駅へ母を迎えに行った青年士官ヴロンスキーは、母と同じ車室に乗り合せていたアンナ・カレーニナの美貌に心を奪われる。アンナも又、俗物官僚の典型である夫カレーニンとの愛のない日々の倦怠から、ヴロンスキーの若々しい情熱に強く惹かれ、二人は激しい恋におちてゆく。文豪トルストイが、そのモラル、宗教、哲学のすべてを注ぎ込んで完成した不朽の名作の第一部。
<中>
愛情も人間性も理解せず、世間体を重んじる冷徹な夫カレーニンの黙認的態度に苦しむアンナは、虚偽と欺瞞にこりかたまった社交界を捨て、ひとり息子セリョージャへの愛にさいなまれながらも、ヴロンスキーとの破滅的な恋に身を投じる。一方、ヴロンスキーがアンナを愛していることを知った失意のキチイは、理想主義的地主貴族リョーヴィンの妻となり、祝福された生活をおくる。
<下>
社交界も、家庭も、愛しい息子も、みずからの心の平安さえもなげうって、ヴロンスキーのもとへ走ったアンナ。しかし、嫉妬と罪の意識とに耐えられず、矜り高いアンナはついに過激な行動に打って出るが…。ひとりの女性の誠実、率直な愛が破局に向ってゆく過程をたどり、新しい宗教意識による新社会建設の理想を展開して、『戦争と平和』と両翼をなす、文豪トルストイ不滅の名作。



Copyright (C) 2017 Shougo Iwasa. All Rights Reserved.