『西成山王ホテル』黒岩重吾(著) 2017
9/4
月曜日

大阪、西成という街。縁のある街である。1980年、18歳になったばかりの頃、一年住み込みで働いた。通常に住んだというより「西成」に根深に密着した日々だった。木津川と阪神高速に挟まれた北津守・津守・南津守と呼ばれる地域だった。経験は僕の精神力を頑丈にし、ちょっとやそこらのことでは「驚かない(驚けない)」図々しさを与えてくれた。周りの同級生が子供にしか見えなかった。

さて、本編、西成は入舟町(釜ケ先)、山王(飛田)を中心に、男と女の、底辺地域ならではの出来事を綴っている。あからさまに一般市民は敬遠する街ではあるが、住んでみると居心地がよく干渉されない、一度埋没すれば抜け出せないところらしい。そのような場所であるがゆえ、男と女の間にもハッピーエンドには行き着けない場所でもあろう。本編集録は、
 ・湿った底に
 ・落葉の炎
 ・崖の花
 ・朝のない夜
 ・雲の香り
となっている。

西成山王ホテル (1970年) (角川文庫)
黒岩 重吾
B000J91EB6
登録情報
文庫: 344ページ
出版社: KADOKAWA (1970/8/1)
言語: 日本語
ISBN-10: 4041268079
ISBN-13: 978-4041268070
発売日: 1970/8/1



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