『ペルソナ戦略―マーケティング、製品開発、デザインを顧客志向にする』
ジョン・S・プルーイット(著)
2017
7/24
月曜日

デザイン思考の社外研修の折に紹介された本。「ペルソナとは何か、何ができるのか」に答える稜明期の書籍と言えよう。序文はなるほど感があるが、終盤以降、無駄に長いと感じてしまう。
---一部、書籍からピックアップ
■企業はユーザや顧客を語ることができるか?
経営戦略を考えるうえできわめて重要な視点である顧客に関する企業とそのモデル、または意見を表現していること
戦略や顧客像を物語を語るように多くの場面を想定して、生き生きとした像を作り上げること
ペルソナは、Good story has the right details といわれる
ユーザの使用場面を理解することが求められる

■市場適応や顧客・ユーザ適応が企業戦略の基本
市場が求めているもの、顧客・ユーザが求めているものを提供しなければならない

■ペルソナとビジネスモデル
現代企業は新たなビジネスモデルを構築することが必須だが、ビジネスモデルは、
 ・独自の収益システム
 ・顧客接近方法
 ・顧客獲得方法
を見つけること しかし、→→必ずしも収益に結び付かないことがある
→顧客やユーザ視点の欠如がある

ペルソナの作成のステップは、
 ・準備・計画
 ・ペルソナの骨格(対象の仮説作り)
 ・現場とのコミュニケーション
 ・活用
 ・実行の成果
 ・その確認と評価
 ・検証
■重視するのはコミュニケーション
ペルソナを活用することで、顧客とのコミュニケーションが活性化
顧客像が明確になれば集中かつ濃密なコミュニケーションが可能(企業は顧客のことをよく知ろうとしているがその手立ては限られている)

■ペルソナを通じて得られるメリット
物事の組織での進化過程を理解することができる
製品やサービス開発から顧客接点までが進化し、顧客とのコミュニケーションが促進
顧客やユーザを話題の中心としてコミュニケーションが生まれやすくなる
顧客やユーザに対する深い知識の獲得と具体的なユーザ行動への理解が進む
組織にとって何が重要であるかが理解できるようになる
企業が大事にする価値が明示的になり、意思決定が速く、より正確になる
企業の新機軸と企業が保有するリソースとのマッチングにおいて無理の内、失敗の少ない多角化が可能

ペルソナはユーザー中心デザイン(User Centered Desgin)手法を補完するもの

■「ユーザを中心にすること」が難しい理由
1.顧客思考は自然なことではない
→人間は自分自身の欲求やニーズに基づいて製品を設計する傾向を持っている
2.ユーザは複雑で多様である
→ユーザーの要望、好み、言動を把握するのは簡単ではない
3.ユーザーを理解するためにユーザーやマーケットの調査をする人、あるいは営業チームやサポート・チームなど実際にユーザーと接する人たちと、製品の設計/開発する人とが異なる


■ユーザー理解だけでは優れた設計は出来ない
時間が進むにつれて、設計と仕様書が食い違ってくる。設計はテクノロジーの変化、時間的プレッシャー、経営者の心変わり、競合の変化、開発者が「どうしても実現しなければならない」と思う彼ら好みの機能やテクノロジーなどの影響を受け、そして「最終」仕様書ですら、製品を完成させるという現実から忘れ去られる

■ペルソナのメリット
ペルソナはユーザーに関する仮説と知識を明らかにし、ユーザーについて語るための共通言語を作り上げることを可能にする
ペルソナにより特定のユーザーに焦点を当てた設計が行え、よい決定を下せるようになる
ペルソナはユーザーへの興味と共感を呼び起こし、ほかのユーザー・データでは表現できない方法で、プロダクト・チームがユーザーに関われるようにする

ペルソナは万能薬ではなく、効果的な手法はほかにもある
ペルソナは「完全無欠」ではない。完璧なペルソナはあり得ない
ペルソナは会社の商品ではない。ペルソナは仕事のゴール







ペルソナ戦略―マーケティング、製品開発、デザインを顧客志向にする
ジョン・S・プルーイット 秋本 芳伸
4478000417
登録情報
単行本: 321ページ
出版社: ダイヤモンド社 (2007/3/16)
言語: 日本語
ISBN-10: 4478000417
ISBN-13: 978-4478000410
発売日: 2007/3/16
商品の説明
内容紹介
「顧客の視点で考えろ」というスローガンはあっても、具体的にどうするかを明示している企業は少ない。「ペルソナ」は近年、アメリカ企業を中心に取り組まれている手法であり、本書はペルソナを通じた、顧客理解の組織的取り組みの方法を提示する初のテキスト。

ユーザーの情報を製品・サービスの仮想ユーザーである「ペルソナ」に変換する方法を紹介する。そして、単にその価値を示すだけでなく、優れた製品・サービスを作るために、「ペルソナ」を計画して作成し、それを共有して、活用するテクニックとツールを提供する。

内容(「BOOK」データベースより)
日本初のペルソナによる顧客視点のテキスト。ユーザーの情報を自社の製品・サービスにとって最も重要で象徴的な仮想ユーザー「ペルソナ」に変換し、共有し、活用するテクニックとツールを提示する。国内事例を収録(大和ハウス工業、日立アプライアンス)。



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